
花木コヘレト
@qohelet
2025年10月7日

詩と出会う 詩と生きる
若松英輔
読み終わった
図書館本
詩
たくさんの詩人や思索家のエッセンスを取り出して、分かりやすく披露してくれています。ただ、若松英輔さんが言いたいことはとにかく一つのことです。つまり、眼を養いなさい、耳を養いなさい、そして心を養いなさい、ということです。
道に落ちている宝石を拾い損ねるな、苦しむ人のうめきを聞き損ねるな、星の光を浴び損ねるな。世界はこんなに豊かだぞ、見えない世界はもっと豊かだぞ、それをいつでも思い出せるようにしなさい、ということだと思います。
そういうことなら、どんな本でも言っています。たぶん若松さん自身も、特別なことを言っているつもりはないと思います。ただ、彼の場合は、圧倒的な読書量と、そして読者に差し出す詩がひと味違うのです。本書冒頭で、塔和子さんの詩を引用するなんて、若松さん一流だと思います。また、内村鑑三の詩も、神谷美恵子さんの詩も引用してみせます。若松さんは、どこにでも詩を見つけることができる人なのです。なぜかというと、彼の詩への一途な思いが圧倒的だからだと思います。
今流行りの現代詩とは違った側面で、詩の入り口に立ちたい方へ、おすすめの本です。

