
ゆき
@yuki1024
2025年10月8日

ふくわらい
西加奈子
読み終わった
社会は「きれい」じゃないと愛してくれないけど、こころはグロテスクでも生々しくても、正直でまっすぐあれば、愛せるし愛してくれる。
社会が愛してくれないから「きれい」に執着するけれど、それがこころを侵食して、目に見えるもの、理解ができるものだけが愛されて、こころは無理を強いられて、凍りついていく。
河合隼雄物語賞の選考基準は「人のこころを支えるような物語を作り出した優れた文芸作品」とのことだけれど、まさしくこの作品はこころを支えてくれるような本だった。
社会的には理解不能でも、そこに生きてきたその人だけの物語があって、それがグロテスクであろうとも、生きていることのよろこびや素晴らしさ、それを人とわかち合えることこそが「こころ」の良さだと、完璧じゃなくちゃ受け入れられない(自分も他者も)という苦しみに、暖かく包み込むような視点を与えてくれた。
自分のこころに嘘をつかない、社会の声で蓋しない、ちゃんと耳を傾けてことばにする。そうしたら、他者のこころも自分のこころも、受け入れられるようになるのかな。

