
ミオReads
@hanamio03
2025年10月8日

こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方
中村桂子,
春山慶彦,
池澤夏樹,
養老孟司
読み終わった
YAMAP創業者の春山さんと、名だたる著名人との対談。「こどもを」と銘打ってあるし「『赤ちゃん、かわいいな』の目を授けられている」からも分かるように子どもを自然に、山に触れさせて、知の体験をしよう、とは書かれているんだけど、基本的には人間の話なので、大人もきちんと対象です。
「ああすれば、こうなる」方式
「勉強すればなんでも頭に入ると思い込みすぎ」
「思い通りにならないことや余白と向き合う」
「あらゆることに『予測と制御』が可能だと思ってる」
ちょっと自分に必要かもしれない、この考えをやめたい・抜け出したいけどどうしたもんか? と最近思っていたことが、賢人たちの知性と言葉でこれでもかと語られていた。こういう巡り合わせは、見つけたい!と思っても見つかるものではなく、いろんな分野に枝葉を伸ばして遠回りして、無駄なこともして、それでたまたま巡り合えたり合えなかったりする、まさしくこの本に書かれていることだなと感じる。
自分を幸せにするには世界が幸せになってないと無理だよ。引用は宮沢賢治にも至るのだが、その精神そのままに、YAMAPとヤマレコが共同で、ユーザーたちと集めた登山道のデータを国土地理院に還元した話は、すごく胸打たれた。池澤夏樹が「そのデータを彼らは受け取りましたか?」と尋ねた思慮や、結論を聞いて褒めてくれたことを含めて。
あとは「歩くことって気持ちいい」という話。二足歩行は脳を使う運動であり(転びやすいから)、人間の弱さゆえに進歩した形(両手に物を持ち、遠くまで移動できるように)という原初の話なんかも随所にちりばめられながらも、
「(山登りの)最初の2.3時間は身体の中にいわば灰汁がたまってる感じなので、すごくキツいんですよ。それを越えると、だんだん楽しくなってきます」
という根源の喜びの話もあって、うんうん、とにっこりしながら読んだ。楽しいね。歩きたいね。
追記というか「いろんな分野に枝葉を伸ばしてたまたまつながる」の話につながるように、ちょうど今、ミヒャエル・エンデの「モモ」も一緒に借りて来ていた。対談の中で出てきていたのだ。面白い〜と思いながら、次は「モモ」を読もうと思う。


