
Anna福
@reads--250309
2025年10月8日

ザ・ロード
コーマック・マッカーシー,
黒原敏行
読み終わった
灰に覆われた死滅の世界を父と息子がショッピングカートを押して歩くという光景は鮮烈だ。
かつては穏やかな日常生活の象徴だったカートが、今では希望を運ぶ器となり、文明の残骸の中で彼らのギリギリの命を支えている。
この作品にはキリスト教的世界観が深く染み込んでおり、特に「原罪」と「人間の堕落しやすさ」というテーマが強く感じられた。
そもそも世界の崩壊は隕石の落下などではなく、人間の罪によるものだろう。
沈黙と暴力が支配する地獄のような世界で、息子は「火を運ぶ者」として倫理を選択し続ける。
彼が父に「ぼくらは善き者だよね?」と問い続ける姿は、キリスト教的精神の表れに思えた。
悲しいかな、私はこの世界に組み込まれたら、早々に恐らく母親と同じ選択をするだろう…




