ザ・ロード

22件の記録
- Anna福@reads--2503092025年10月8日読み終わった灰に覆われた死滅の世界を父と息子がショッピングカートを押して歩くという光景は鮮烈だ。 かつては穏やかな日常生活の象徴だったカートが、今では希望を運ぶ器となり、文明の残骸の中で彼らのギリギリの命を支えている。 この作品にはキリスト教的世界観が深く染み込んでおり、特に「原罪」と「人間の堕落しやすさ」というテーマが強く感じられた。 そもそも世界の崩壊は隕石の落下などではなく、人間の罪によるものだろう。 沈黙と暴力が支配する地獄のような世界で、息子は「火を運ぶ者」として倫理を選択し続ける。 彼が父に「ぼくらは善き者だよね?」と問い続ける姿は、キリスト教的精神の表れに思えた。 悲しいかな、私はこの世界に組み込まれたら、早々に恐らく母親と同じ選択をするだろう…