
汐見
@siomi250927
2025年10月9日

#東京アパート
吉田篤弘
読み終わった
東京のアパートにまつわる様々な人を書いた短編集。ショートショートかも。
現実と非現実の境界が曖昧な世界観、とても好き。比喩や言葉選びも読んでいて幸せなくらい良かった。
静かで穏やかな空気が全体に共通しながら、一つ一つの話に違った味わいがある。
自分にとって2025年ベストの一冊に入ると思う。
p.167
「図書室に逃げ、本の背中を端から順に読んだ。図書室の静けさが心地良く、皆から離れて一人になる時間がまた好ましかった。
とはいえ、図書室を好んでいたのは、そこに声にならない声を隠し持った「本」が並んでいたからで、本はいつでも友人の代わりだった。あるいは、行きつけの店のようなもので、ページを開けば、本の中の誰かや語り手と静かな時間を共有できた。」
p.300
「手紙というのは、いちばん短い小説のような、詩のような、あるいは、それよりずっといいものが手書きで書かれた紙の束のことだ。」




