
小池陽慈
@koike_yoji
2025年10月10日

デリダ 脱構築と正義
高橋哲哉
読み終わった
今から約三十年前、初めて「脱構築」という名前を知ったとき、手にした入門書には、「脱構築なんてか〜んた〜ん! 要は二項対立崩しだよ!」みたいなことが書いてあった。そのときは、ふんふんなるほど、と頷いた。
けれども、その後、岡真理『記憶/物語』(岩波書店)に感化され、僕は「要は二項対立崩しだよ!」に違和感を覚え始めた。この一冊を、「岡は、どうやら自らの思索に、デリダの差延という考え方を応用しているようだ。しかも、その軌跡は、他者をめぐる、極めて倫理的なものである」と読んだ僕にとって、もはや「脱構築」は、恐ろしいほどにストイックな倫理的実践としか思えなかったのだ。そうしてその後、「脱構築」に関わる本や文章を読んでいくなかで、僕のそうした思いは、より強いものとなっていく。
高橋哲哉『デリダ 脱構築と正義』(講談社)を読み終えた今、その思いは、いっそう堅固なものとなった。本書との出合いは、僕の残された人生の時間にとって、破格の意味を持つことになるだろう。




