
欠片
@kakera_0404
2025年10月11日

流浪の月
凪良ゆう
読み終わった
はじめましての凪良ゆうさんの小説でした。
昨日読み始めて、一気に読了📚
読んでいくうちに引き込まれる感覚がどんどん強くなっていく作品でした…!
私は瀬尾まいこさんの作品がすごく好きなのですが、瀬尾まいこさんの作品と凪良ゆうさんはどちらも「人が抱える生きづらさ」を繊細に描き出すことのできる作家さんなのだなぁと感じました。
瀬尾まいこさんの作品は、「生きづらさを抱える人々が、お互いのすべてを分かり合えなかったとしても、人との関わりの中で救われていく可能性があるという希望」を描いた作品が多いと感じていますが、凪良ゆうさんの「流浪の月」は「生きづらさを抱える人に対する、優しさが当の本人達を逆に苦しめていく」という内容で、浅い感想ですが、とっても深い内容だと感じました。町田そのこさんの「52ヘルツのクジラたち」にも似たような生きづらさが描かれているように思います。瀬尾まいこさんの作品よりは、重く暗い部分もありますが、だからこそ、より深く考えさせられ、心に刺さる作品でもあったように思います。
私が感じたのは、「生きづらさ」は人それぞれにあるということ。そして、「生きづらさから救ってあげたい」という「優しさ」は、必ずしも当人を救い出すことができないかもしれず、「優しさ」という名で、その当人を絞め殺すことができるということ。貴方が「優しさ」と呼ぶ行為が「普通の押し付け」や「人を救う優越感」からくる行動になっていないか、と深く考えさせられるテーマだと思いました。「人を救うこと」は「自分が救われたい人」が行う行為だと、どこかで目にしました。「過去の自分を癒やし、救う」ために、他人の生きづらさを利用していないか、「他人を救う行為」が「自分を救うための行為」になっていないか、そんなことを問われたように思います。でも、「私を救うための行為」が「他人を救う瞬間」も、事実、存在していて…。人は人との関わりの中で、自分を救ったり、他人を救ったり、そんな優しさに救われたり、はたまた利用したり、ときには優しさで人を傷つけ、ゆっくりと絞め殺したりしながら、生きていくのだと考えました。ただ、やはりどんな場合でも、「相手を先入観なく、ありのままを知ろうとする努力」は必要だなと感じます。人はみんな一人一人違うのですから、考え方も、行動も、表現の仕方も違っていて、本当に理解できることなんて無いということを肝に銘じ、それでいて、だけれども、人間は一人では生きられないから、他者を「自分の尺度で測らない」「自分の尺度が必ずしも正義ではない」「自分の普通は他人の普通ではない」そんな考えを持ち続ける必要があるのだと感じました。自分が、自分を救うために、優しさという名で誰かを絞め殺さないでいたいと、強く思います。
