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2025年10月11日

犬の記憶
森山大道
「ひとりでぼんやりとしていてなすことのないとき、いつのまにかそばに思い出がやってくる。思い出はときにかすかに甘くほろにがいこともある。そんなとき、ほろにがさの向こうにひとりの女が見えて、その背景には褪色したいちまいの地図といちまいのカレンダーが貼ってある。(…)その女と出逢って、そして別れるまでの道すじと月日は、すでに手ざわりもなく時の向こうににじんでいる。女と過ごした街の輪郭はぼやけ、女と送った季節も過ぎ去って、思い出はなにもかもが遠い存在になってしまった。」という思いから「かつての思い出の街に行ってみることに」するのはエモいけど、多少キモいも入ってくる。それでもわかってしまう感もある。
この本は全編にわたるエモ語りが最高だと思っている。過去を思い語ることは常に少し哀しいけれど、それを写しとる写真を語ることもやはり哀しいのかもしれない。

