あるく "森にあかりが灯るとき" 2025年10月12日

森にあかりが灯るとき
現代日本で介護職として働く人たちのリアルを描いた長編小説 介護職は過酷な割に世間からも利用者家族からも舐められがちな職業とは聞いていたが、一章の時点であまりにも救いがなくてしんどかった それでも暗い森を彷徨う利用者たちの灯火たらんとする介護職の方々には頭が上がらないし、本当に他人事にしてはいけないなと思った 様々な登場人物が出てくるが、それぞれに事情を抱えその人なりに精いっぱいなのがわかる 介護職の人も、利用者も、その家族も。その周縁にいる私みたいな人だって、みんな同じ問題を抱えている。ただでさえ限界なのに、これから数十年後日本の介護はどうなるのか 「森あかり」で働いた期間は短かったけれど、星矢は間違いなく利用者たちの灯火になっていた。それだけではなく、森あかりでの利用者との交流は、いままで背番号をもらえず燻っていた星矢の心にそっと火をつけたのは間違いない かすかな希望が少しだけ顔を覗かすような、そんなラストだった
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