森にあかりが灯るとき

森にあかりが灯るとき
森にあかりが灯るとき
藤岡陽子
PHP研究所
2024年9月19日
4件の記録
  • 現代日本で介護職として働く人たちのリアルを描いた長編小説 介護職は過酷な割に世間からも利用者家族からも舐められがちな職業とは聞いていたが、一章の時点であまりにも救いがなくてしんどかった それでも暗い森を彷徨う利用者たちの灯火たらんとする介護職の方々には頭が上がらないし、本当に他人事にしてはいけないなと思った 様々な登場人物が出てくるが、それぞれに事情を抱えその人なりに精いっぱいなのがわかる 介護職の人も、利用者も、その家族も。その周縁にいる私みたいな人だって、みんな同じ問題を抱えている。ただでさえ限界なのに、これから数十年後日本の介護はどうなるのか 「森あかり」で働いた期間は短かったけれど、星矢は間違いなく利用者たちの灯火になっていた。それだけではなく、森あかりでの利用者との交流は、いままで背番号をもらえず燻っていた星矢の心にそっと火をつけたのは間違いない かすかな希望が少しだけ顔を覗かすような、そんなラストだった
  • 『森にあかりが灯るとき』 介護をテーマにした藤岡陽子さんの小説。藤岡さんの魅力は読後感のよさ。でも、そこに登場する人物はリアルだ。医療現場も報道現場もそしてこの介護施設現場も。 お笑い芸人を挫折し、特別養護老人ホームで働く星矢の眼を通して、介護施設の人間模様が描かれる。星矢自身も、努力が報われない現場に心が折れかかっている。介護のプロなのだから100点でなければいけない、24時間ミスなく過ごさなければとみんな疲弊している。 長年介護の現場で奮闘している介護士と施設担当医師葉山。そして思ったことをストレートに話す星矢が延命治療をめぐって対立する場面は重く迫る。 『命は大切と言いますが、 それはおそらく長く生きることではなく、 その動物らしく生きることなのだと思います。』 葉山が旭山動物園で出会った園のスタンス表れる言葉も印象深い。 一番グッときたのは、ベテラン介護士が、「彼の誠実な人柄はここにいるみんなが知っています」と警察に憤慨する場面。「背番号」を見つけることのできた星矢の自己肯定の安堵が嬉しい。 魅力的な葉山医師と新たな道を歩む星矢。またどこかで接点が生まれてほしい。 返却期限ぎりぎりで一気読み。介護の現場で働く人達にも藤岡陽子さんにも感謝。
  • 介護の現場の問題点やら色々分かって勉強になったけどメンがヘラってる時に読むとしんどい💦元気な時に読んだら良かった💦
  • 春
    @koharu3k
    2025年3月10日
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved