
花木コヘレト
@qohelet
2025年10月12日
どこかの遠い友に
木村哲也,
船城稔美
読み終わった
LGBT
詩
ハンセン病
しっとりとした、仄暗い言葉が連なっていて、暗鬱な気持ちにさせられました。もちろん非難しているつもりはなくて、著者の精神を追いかける意味として、味わい甲斐のある感触だという意味です。まだ一読しただけなので、また近いうちに二周目に挑戦したいと思っています。
惹かれたフレーズはいくつかありますが、やはり標題作の「どこかの遠い友に」の冒頭、
私は群衆の中のたつた
一つの顔なのだ
君がたつた一つの
顔のように
はとても心を打つラインでした。自己というもの、そして友情というものを、深く考えているからこそ、出てくる言葉だと思います。孤独と、そして希望に裏打ちされていると思います。
また、衝撃を受けたのは「たそがれ」という詩篇の、
私は もう
机に生花を飾りたくない
という最終行です。自分の体が朽ちていくことを見つめた後に書かれるラインなのですが、詩人の美意識が鮮やかに示されていると感動しました。
志樹逸馬さんよりも言葉が湿っていて、女性はむしろ船城さんの方が好きなんじゃないかな?と感じました。両者とも素晴らしい詩人と思います。

