勝村巌
@katsumura
2025年10月12日
戦争とデザイン
松田行正
読み終わった
戦争におけるデザイン、特に配色、シンボル、言葉の使い分けについて細かく解説してくれる本。初版は2022年の7月。プーチン・ロシアによるウクライナ侵攻の直後に書かれた論考がメインなので、第二次対戦中のナチスドイツの、デザインの話をしていても、どうしてもウクライナ戦争に話題が惹かれていってしまうような印象があった。
古くは十字軍の頃からキリスト教とイスラム教の間での戦いではお互いを認識できるように配色が工夫されていたとか、そういう話が続く。
また星のマークは識別のデザインとしてよく使われるが、形はともかく色で認識していたとか、ナチスの鉤十字をスワスチカと呼ぶのはなぜかとか、ユダヤ教のダビデの星についての話とか、さまざまなシンボルの由来やら使い方や受け入れられ方などが様々に語られていて興味深い。
とはいえ筆者の興味の赴くところなので、第二次大戦のナチスドイツが中心的に語られているので、網羅的ではない。
たとえば日本の戦国時代の旗印に関する言及などもあまりない。
戦争とデザインというタイトルではあるが、現在のウクライナ戦争に対する反対の気持ちが強く、その辺りのジャーナリズム的な言及がむしろ内容の大きな部分を占めているように感じた。


