氷うさぎ "中央公論 2025年 11月..." 2025年10月13日

氷うさぎ
氷うさぎ
@yomiyomi
2025年10月13日
中央公論 2025年 11月号
中央公論 2025年 11月号
中央公論編集部
老兵は死なず、ただ調べるのみ ▼秦 郁彦 近代史家としての忍耐力に圧倒された。柳条湖事件の細部を突き止めるのに30年かかったとか。 また、政治化されていない歴史の姿を追求する姿勢に感銘を受けた。 自民党が直面する日本政治の地殻変動 ▼飯尾 潤 人々の生活スタイルの変化を背景に、政治家が主役の後援会政治が機能しにくくなっており、これを挽回するには有権者(党員)が主役の参加型政治を取り入れるしかなく、納得の機会を与えながら政策としての実現可能性を図るという政治家本来の仕事に立ち戻らなければ自民党に未来はないという話。 それって解党しろと言っているようなものでは… 「日本人ファースト」を法哲学で考える ▼安藤 馨 道徳の源泉として偏向性の原理(君が特別なんだ)と不偏性の原理(怪我人に知り合いも他人もない)があり、実は不偏的道徳は偏向的道徳によってこそ効率よく実現されるという。人間が全知全能ではないということから、その結論が出てくる。 文章が少し読みにくかったが、読めばこれ以外には考えられないような強力な理屈だと思った。 継続調査で見えたナショナリズムの4類型 ▼田辺俊介 ゲルナーによるナショナリズムの定義「政治的な単位と、文化的あるいは民族的な単位を一致させようとする思想や運動」から調査項目が決まっていくのが鮮やかだなと思った。(ただし以下では、愛国と民族的プライドを分けずに記す) ・排外傾向は愛国傾向ほど強くない。愛国指標として科学とスポーツが挙げられているが、それらに対する誇りは圧倒的だ。 個人的には愛国は、そういうスゴイことばかりでなく、たとえば正規と非正規の分断を憂うようなところにあってほしいと思うが。そこにむしろナショナリズムの枯渇を見る向きもあろう。 ・愛国心教育への賛成はやや低めだが、国旗国歌への賛成は高い。心には踏み込んでほしくないが、わかりやすい象徴には抵抗感がないということだろうか。 ・反中反韓は尖閣がきっかけ。領土問題は強い反応を引き起こし、持続する。 ・アメリカ人に対する反対は低い。米兵の暴行問題はどこに行ったのだろう?実害が制度的に保証されているわけだが、人より領土? ・外国人犯罪は減少し、社会保障はむしろ外国人に支えられている。生産年齢人口も若いし(だから高齢化社会の先延ばしではあるのかも)。 しかし外国人が治安と社会保障に悪影響を及ぼしているという認識が一定程度広がりを見せている。 日本政府による再分配政策失敗の積み重なりへの不満が外国人に向かっているという解釈はよく聞くところだ。 もしそうであるならば、外国人政策に関して説明が不足していることは正しいとしても、この誤認は日本人にも外国人にも益をもたらさないことになる。 ・血統や出生など変更不可能な要素へのこだわりは今のところ高いわけではなく、日本国籍と日本語が日本人としての重要な指標と感じられているようだが、混血が進めばまた違ってくるかもしれないなと思った。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved