彼らは読みつづけた "喫茶店文学傑作選" 2024年3月20日

喫茶店文学傑作選
*読書で見つけた「読書(する人)」* 《病院といえば私は入院中仕事のことを何もかも忘れて、探偵小説ばかり読んでいました。いつの間にか私につきそっていた若い看護婦さんがつりこまれたように読み始め、お隣りのベッドの老婦人まで退屈なままに私のまくらもとの一冊を手になさいました。それがガードナーか何かだったので、「いろいろな名が出てきておぼえられませんね」とおっしゃっていました。退院の日が迫ってくると、看護婦さんは、「奥さんのいらっしゃるうちに、読んでしまわなければ」といい、私も彼女も無言のまま、ベッドの上と下とで読みふけりました。》 — 戸川エマ著「東京の喫茶店」(林哲夫編『喫茶店文学傑作選』2023年9月、中公文庫)
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved