
読谷 文
@fumi_yomitani
2025年10月14日
激しく煌めく短い命
綿矢りさ
読み終わった
まず装丁とタイトルに釘付けになる。
なんと美しいのか。
中学の入学式での2人の出会い方が抜群に詩情に溢れていてよかった。
京都の自然を背景に、あまりにも緻密にみっしりと描かれる中学生活の行事やテストなどの描写を読んでいると、未熟で劣等感の塊でしかなかった自身の中学時代にびゅーんと連れ去られて苦しくてたまらない。
第二部の再会編では、終盤に近づくにつれて幾度もギアが上がっていってテンションが振り回され、最後にはカタルシスの落涙。
タイトル出てくるのそこなのか!と意外に思いつつも、久乃にとって重要な場面に繋がるわけで、こう来るかぁ〜と唸らされた。
あえて登場人物を絞り、エピソードなども具体的には書かず、かなり削いで書いたのだろうなと想像するが、上下巻に分かれてもよいから、もっと久乃の実家でのドロドロが詳しく欲しかった!というのが個人的な感想。
たまに出てくる芯を食うような豪速球フレーズが心に刺さる。
大人になっても変わらず真面目で優等生な久乃が、その業界のその仕事に就いてそんなことするか?との違和感は感じつつ、まあ巨大な伏線でもあるからなぁとは思った。
この辺り文學界10月号の著者インタビューにも久乃の抑圧として書かれていたけど、であればこそ、その抑圧の詳細が欲しかったなと。




