
kei
@k3245
2025年10月14日
自省録(マルクス・アウレーリウス)
マルクス・アウレーリウス,
神谷美恵子
読み終わった
マルクス・アウレリウス・アントニヌス著「自省録」読了。
2025/10 1冊目
◎サマリ
①今を善く生きろ。
②万物の変化を受け入れろ
③すべては諸行無常
◎書評
哲人皇帝、マルクス・アウレリウスの日記のような散文がまとめられた作品。
そもそも皇帝になどなりたくはなく、それをも自分の運命だと受け入れ、皇帝としてのとしての職務をまっとうしたマルクス。
度重なる異国人との戦争の際、野営地でも自分を戒めるため文章を書き続けた。
ストア派哲学のお手本のように、哲学にストイックな面が多分に見られる。
しかし、ただただ小難しいことを言っているだけではない。
マルクスが自分自身を奮い立たせるため書いた文章に熱い想いを抱かずにはいられなくなる。
ストレスの多い現代社会を生き抜くためのヒントがこの名著には眠っていると感じた。
①今を善く生きろ。
マルクスはとにかく人生は短い、今を善く生きろと何度も書いている。
他人のことをあれこれ言ったり、無駄なことに時間を使っている暇はない。未来も過去も存在しない。存在するのは今だけ。
神から与えられた自然の法に従い、困難なことも耐え忍び今を懸命に生きるのだ。
そういったメッセージを常にマルクスは自分自身に送っている。
これは一種のアファメーションのようなものではないかとも思う。
つらい皇帝という職を平和主義的にまっとうするためマルクスは約60年の生涯を使い切った。
哲学で自分自身を奮い立たせずにはいられないこともあったのだろうと想像する。
「現在の時を自分への贈物として与えるように心がけるがよい。」
やりたいことをやりなさい。
そんな自己啓発もよく見かけるが、ローマ帝国の時代から賢人の主張は変わらないのだ。
でも、我々は変化を恐れて行動に移せない。それではだめだ!自分はできる!と常にマルクスは自省していたのだろう。
②万物の変化を受け入れろ
現代人にとって苦手なことのひとつだと思う。
分かっていてもなかなかできないこと第1位かもしれない。
こんな困難なことにもマルクスはしっかり触れている。
「変化を恐れる者があるのか。しかし変化なくしてなにぞ生じえようぞ。宇宙の自然にとってこれよりも愛すべく親しみ深いものがあろうか。君自身だって、木がある変化を経たなかったならば、熱い湯にひとつはいれるだろうか。もし食物が変化を経なかったならば、自分を養うことができるだろうか。」
万物は変わり続ける。
そして歴史は繰り返す。それを受け入れることができるかどうかなのだろう。
これもアファメーション的に自分の身に浸透させていくしかないのだと思う。
③すべては諸行無常
「人生の時は一瞬にすぎず、人の実質は流れ行き、その感覚は鈍く、その肉体全体の組合せは腐敗しやすく、その魂は渦を巻いており、その運命ははかりがたく、その名声は不確実である。」
変化の話に似ているが、永遠などというものはないと何度もマルクスは語る。
だからこそ名声や財産に執着してはいけないと。
マルクスの哲学は禅の思想にも通ずるものがあるように思う。
とにかく日々を善く生きようと努力すること。
そのために自分自身の行動を変えていく大切さを現代人に教えてくれているのだ。