綾鷹
@ayataka
2025年10月15日
罪と罰 下
ドストエフスキー,
工藤精一郎
・ラスコーリニコフの理論
人類は凡人と非凡人に大別され、大多数は凡人で現行秩序に服従する義務があるが、選ばれた少数の非凡人は人類の進歩のために新しい秩序をつくる人々で、そのために現行秩序を踏みこえる権利をもつ
殺人は権力掌握の手段であり、目的は新しい空想社会主義のファランステールを作ること(殺人によって金を獲得、その金によって権力を握り、その権力によって新しいエルサレムを作り、民衆を幸せにしてやる)
・ソーニャの信念
支配者たちの国家宗教(ロシア正教)に転ずる以前の貧しき者、病める者、不幸な女や子どもたちを救ってくれるキリスト教を信じた
ソーニャは一度死んだ、自分の意志で自分を殺した、だが「ラザロの復活」を信じることによって、キリストに生命 をあたえられた、だからキリストの教え、愛による救いをひろめることが、自分の生きる道であると素朴に信じた。
愛と自己犠牲によって身近の人間を自分の道へひきこみ、自分のまわりに正義を広める。
ソーニャが無意識に目ざしていた理想社会は富も権力もない兄弟愛の世界
→二人は逆方向から同じ目的を目ざしていた
→彼は唯一人の道連れであるソーニャ、自分が救わねばならぬ哀れな人々のシンボルであるソーニャを失うことはできない。
→彼はソーニャの愛に負けて、自白する
そして、シベリアの流刑地で、囚人たちの間に身をおいて、ついにソーニャの信念に負ける
→人間の本性を忘れた理性だけによる改革が人間を破滅させる