Sanae "[決定版]ナチスのキッチン:..." 2025年10月16日

Sanae
Sanae
@sanaemizushima
2025年10月16日
[決定版]ナチスのキッチン: 「食べること」の環境史
ナチスが台頭してくる時代より前、電気やガスが台所に入ってくる時代からどのような変化が台所に、主婦に、社会の環境や価値観に起きてきたのかがよくわかる本だった。 ビタミンが発見され、栄養の概念が全面に押し出されることになった結果、食事から食べる楽しみよりも健康のための手段に変わっていったこと。 それは今にも通じるものがある。 メディアで何かが体に良いと紹介されれば、それが市場から一時的に姿を消す。そんな誘導は心当たりがある! ”台所という「工場」の構成員が一人の主婦“という表現が目をひく。この閉鎖的空間から女性は男性や子どもを支える必要があった。団地のキッチンは調理中も子どもから目を離すことがないような空間の工夫など、主婦ワンオペが当たり前。近代でもそんなふうに世界が回っていたのなら、男女平等に変わっていくことは時間がかかって当然なのかなと思ってしまう。 ナチスが台頭して以降、節約も美徳とされ、節約レシピや市民運動が政府主導で展開されるが、調理器具や製品の企業と結びつき、広告がうたれ購買意欲を持たせるという矛盾。 豚の飼料は輸入に頼るところが大きく、宣伝によってほとんど海がなく魚をあまり食べないドイツ人でも魚を食べる割合が伸びていたこと、残飯を豚の飼料にするというかなり大変な取り組みなど、台所にまで及んだナチスによる戦争を知ることができた。面白かった。
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