しおり "文豪、社長になる" 2025年10月16日

しおり
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@Kaffee5888
2025年10月16日
文豪、社長になる
文学を好まない人でも知っているであろう芥川賞、直木賞、そして文藝春秋。それらを作った作家であり、社長でもあった菊池寛の人生を描いた一冊。お堅い文章ということもなく、するすると読めるのがとても良かった。社長もしつつ、真珠夫人や恩讐の彼方になどの大衆向けの劇作家もするという二足の草鞋をやり遂げた菊池寛、という存在がどういった思考で、どういった人生なのかをたどる作品でとても面白かった。 やっぱり人生、楽しんだもの勝ち…というか、「楽しい!」「面白そう!」と思ったものにすぐ飛び付けるかどうかが人生を彩り豊かにできるかどうかが変わる気がする。そしてそういう風に楽しくできる人の周りには人が集まる、人が集まればさらに違う遊び方も思いつく、いいことだらけである。自分は引っ込み思案でなかなかうまく一歩を踏み出せないことの方が多い性質なので憧れる。 最初の章の「寛と寛」の話では、芥川龍之介との友情が主題である。先日、共訳をしたアリス物語を読んだ身としては、心が詰まるような想いがした。芥川が頑なに「ひろし」と呼び続けたのは記者の「菊池寛」や作家の「菊池寛」に会ってるのではなく友人として純粋に話をしたかったから「ひろし」と呼び続けたのではないかな、とか思いつつ。
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