カササギ "スピニー通りの秘密の絵" 2025年10月17日

スピニー通りの秘密の絵
スピニー通りの秘密の絵
ローラ・マックス・フィッツジェラルド,
千葉茂樹
児童書らしく大団円のクライマックス、そして心に沁みるエピローグに大満足。 途中、禁帯出の画集に紅茶をこぼすシーンあたりで、ああこれは映像化しても素敵かもしれないと、視覚的なイメージが溢れてきた。夏休みの子ども向けに連続ドラマにするのも面白そう!と妄想が始まる…いやいや、ひと夏で成長する少女の物語として親子で見られる夏休み映画に仕立てるのはどうだろう。そうしたら、やはり冒頭のつかみのシーンは、ヒロインの祖父がこの秘密の絵と邂逅するシーンだろうか、それともその直前の命をかけたハラハラドキドキの逃亡劇か…そこはやはりセピア色のシーンで、そこから場面が切り替わってヒロイン登場、夏の暑い一日が始まる現在視点の物語がスタートする…なんてどうだろう、と妄想は膨らんでいく…。そんな話を用意して、この物語を友人に贈るのは良いのかもしれないなあなんて。 …そこまで考えていて、ふとある映画を思い出す。スタイリッシュな書店の閉店シーンから始まる映画『マイ・ブックショップ』。映画の主人公は冒頭に登場するその人ではない。でも、こんな風に改変ではなく、受け手の想像を物語にプラスすることが許されるのならば、アートな大人映画としてこの物語も成立させられるのかもしれないな、と思う。標題紙裏の版権表示には2014年に著作権が発生したことになっている。その当時ヒロインが13歳だと仮定して、10年後の今、20代になった美しいヒロインがスピニー通りを闊歩するシーンから始めるのはどうだろう。そしてもちろん、エピローグには美しく成長した相棒も登場する。ニューヨークで働くヒロインがひと仕事終えて帰ってくるのは、ひと夏の冒険で彼女たちが守り切ったその館。グリニッジビレッジのテンペニー家。それを俯瞰して物語は終わる… そんなことをひとりで考えて満足していると、同じように一本の映画にしたら面白そう!と思った小説があったことを思い出した。それは、一本の電話が鳴るシーンで始まる…オムニバス形式の物語で登場人物も多くて時系列も絡み合うような、そうそう『赤と青とエスキース』。これは、もう文庫が出てたはず。友人にはこちらを贈る方が良いかもしれない、再読しよう。うん。青山美智子さんの作品はどれか映像化されても良さそうなんだけど、まだかなあ。
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