
-ゞ-
@bunkobonsuki
2025年10月17日
(霊媒の話より)題未定
安部公房
安部公房の処女作「(霊媒の話より)題未定」を筆頭に、初期の短編や未完成の断片を集めた短編集。
作品の中には原稿が散逸したために結末や続きが分からなくなってしまったものも多いが、それだけに作者の才能が際立ち、続きを望みたくなる。
個人的には「白い蛾」から読むことをおすすめしたい。この話は安部公房にしては珍しく心温まる物語で、文体も柔らかい。ハードコアな世界観で知られる作家だが、書こうと思えばこういう物語も書けるのだと驚かされる。

