
kasu.
@11uyksm
2025年10月16日
Nの逸脱
からんころん,
夏木志朋
読み終わった
電子書籍
デジ図書
普通じゃない、“逸脱”した人達のお話全3話。
どんでん返し?イヤミス?
とにかくどのお話もスッキリしない。複雑な読了感。
でも先の読めない展開に引き込まれていく。
各物語の序盤から『何があった?』と思わせる作りにまんまとハマり、読む手が止まらなくなった。
暴力的な表現が多いからほんわか系が好きな方には向かないだろうけど、個人的には結構好きなジャンルだった。
🦎場違いな客
爬虫類専門店で働く篤。ある噂話をオーナーから聞いた時のことを思い出していた。
『もし、場違いな客がそれを買って行ったら、そいつはー』
序盤の序盤から物語へグッと引き込ませる文に先の展開が凄く気になって、どんどん読めちゃう。ペットショップでの出来事やその後に待ち受ける出来事、そして衝撃のラストに呆然。
👠スタンドプレイ
高校教師の智子は人気のない住宅街でタクシーを捕まえて乗り込んだ。座席の下で、破れたストッキングの足裏とハイヒールのインソールの間に挟まった砂利をひそかに払い落とし、不安を抱えながら運転手と会話する。黒いロングコートを着て、ハイヒールを履いた、背の高い痩せたマスク姿の女…まるで怪人のような自分は警察へ通報されるのだろうか…
こちらもやはり序盤から展開が面白い。どうしたらその場面へ繋がるのか全く分からなくてワクワクしながら読んだ。
小学生の智子が書いた作文に「アルジャーノンに花束を」の小説を読んだ話があって『小説の中で別の小説が出てくるのって面白いよなぁ』とか思いながら読んでたら、後々その場面が重要になってきて、印象の残し方が凄いなと感心。(私だけかも)
物語の中盤「それがすべての始まりだった」の一文を見て、『え!?ここからが!?もう既に色々始まってたけど!?』となり、更に物語に入り込んだ🥹
ー私はきっと、逸脱したかったのだと思います。
ここでタイトルを回収できた様な気がして、“逸脱”の意味を深く考えさせられる。(Nの意味は分からない。)
🔮占い師B
中年オバハン出張占い師、坂東イリス。そして客として現れた一見有能知的で真面目そうな見た目の秋津。坂東は会話をしてみて気付く彼女の印象を心の中で口にした。『こいつ、見た目に反してバカである。』
もう面白い。この時点で面白い。秋津がとにかく面白い。坂東と秋津の掛け合いがテンポ良く進んでいくのでどんどん読める。途中「人の未来と過去が見えるのです」とカミングアウトする秋津。こちらもその先どんな話になって行くのか全く想像がつかない中で読み進め、終盤になってとんでもない展開になった時には『ひぇ〜』と若干引くくらいの衝撃さ。3作中、このお話が1番印象深いのもきっとその場面のせい。
緩急のかなり強い作品だったけど最後の最後には伏線回収も少しあって、登場人物たちの繋がりを楽しめもした。
そして何より坂東が1番好きだというタロットの〈吊るされた男〉のカード。これがいい味出してる。




