
jirowcrew
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2025年10月17日
ハドリアヌス帝の回想〔2008年〕新
マルグリット・ユルスナール,
多田智満子
ちょっと開いた
「思いちがいをしないでほしいが、希望的想像と同じくらいおろかしく、それよりもたしかにずっと苦しい恐怖の幻想に身を委ねるほど、わたしはまだ弱っていない。仮にわたしが自分を欺かねばならぬとしたら、信頼の側に身をおくほうがましであろう。そのほうが恐怖の側に身をおく以上に失うことはなく、苦しみはより少ないというものだ。」
弱るということは、想像と幻想に身を委ねること。
失うことを避けようとするならば信頼を、
得ることを避けようとするならば恐怖を。
本当の自分を知ろうとしないということは、
快楽に身を委ねている証拠。
死ぬ寸前に、ハドリアヌスは、そして自分は、
何を得ようというのだろうか。
