
ほんね。
@Honne_0330
2025年10月17日
傷を愛せるか 増補新版
宮地尚子
読み終わった
"傷を抱えて生きる全ての人に"
帯文のこの言葉が全てだと思う。
精神科医の著者の書くエッセイ。
海外の話だったり研究者としての視点だったり難しく感じるところもいくつかあったけど、総じてゆっくりと浸透していくような本だった。
これは読む点滴ですね。もうちょっと時間があって頭動いている時に読みたい。
傷がない人間なんていないと思うけど、みんなそれを隠して普通に過ごしてるんだって思うとちょっとだけ世界が愛おしくなる。
人身事故のくだり、裸の王様の子供なのかもってところ、響いたな。鈍感に頭を鈍くしないとこの世界は辛すぎるけど、大事なことは忘れたくないんだよ。
今はもう古傷となったであろう過去の傷を、かさぶたをはがすみたいにたまに思い返しては、やっぱり悲しくなる。笑って話せるようになったと思ったけど麻痺させてるだけなんだろうな。
傷の存在を認めて、傷ついたことを認めてあげることが大事なんだろうか。だとしたらまだ無理だなとか。
この傷ごと愛してあげたいなぁ。
以下、好きな文。
◾︎p162
最初にほんの少し軌道修正すればよかったのだけれど、いつの間にか後戻りできないほど進んでしまい、「思えば遠くへ来たもんだ」とつぶやくことになる。(中略) 取り返しのつかない、悔やんでも悔やみきれない結果であるほど、どこで運命が分かれたのかを、人はくりかえし問うことになる。けれども運命の分かれ目など、ずっとあとにならなければわからない。


