
ころもで
@koromode
2025年10月19日
夜明けのすべて
瀬尾まいこ
買った
読み終わった
@ ほんたす しんこうべ
職場で理不尽なトラブルにみまわれ、先が見通せない今。心身ともにふらつきながら、すがるように読み始めました。
藤沢さんは重いPMS、山添くんはパニック障害という不条理で、メジャーな人生のルートからドロップアウトさせられてしまう。
同じ小さな会社に転職した二人は、ふとしたことからお互いの病気を知り、関わりあい、フォローしあうことで、停滞から前に進む力を取り戻していく。
……と書くと重かったり、二人が善人過ぎて描かれそうですが、実際は「藤沢さん結構むちゃくちゃだな?」とか「山添くん、そこそこ失礼だなこいつ!笑」とか、くすりとしながら読んでいけます。
ボヘミアン・ラプソディのくだりがとてもよい。
登場人物に悪い人がおらず、主人公二人、特に山添くんが自分の苦しみから外へと視野が広がり、動き出すまでの心理思考が丁寧に書かれています。
つらいとき、逆に他人を助けることで自己効力感を取り戻し、メンタルが回復することってありますよね。
病気については何も解決していない、けれど前とは違う視点で歩みを再開する人たちがいる。(否応なく違わされてしまった、その前に戻れないだけだとしても。)そんな物語をなぞることで、ほんの少し、ふらついた心を回復させることができました。
絆創膏のような作品ですね。
その他、感じたこと。
・他者の苦しみについて、体感はできなくても想像し、思いやることはできる。
・思いやったとしても、自分は自分、他者は他者。人生のラインは近づいても溶け合うことはない。それでいい。
・思いのすべてを会話として伝えていなくてもいい。伝えずに小さな行動で示すことができるし、周囲の人もそうしてくれているかもしれない。まっとうな人は、押しつけがましくなくそういうことができる。
・何もかも重々しく受け止めなくたっていい。
・互いの意見が異なるとき、さらりと躱しながら、ほがらかに会話や関係を続けていくことは十分できる。




