
七瀬由惟/Yui Nanase/あーしぇ
@ashe_dalmasca
2025年10月19日

頂点都市
ラヴァンヤ・ラクシュミナラヤン,
新井なゆり
読み終わった
群像劇というか、複数の登場人物による物語の同時進行というか、連作長篇(になるのかな?)というか、こういう構造の物語は、その世界に自分が溶け込むまではなかなか全体が見えてこないので、最初のうちはとっつきが悪いかもしれません。
上層民と下層民、そして七割の中間層に分断するベルカーブ制度、棲み分け、下層民への転落への恐怖、まるで江戸時代の五人組のような相互監視を推奨する環境、ディストピアそのものの世界で生きる人たちが描かれる。
あちこちに位相が向き見通しの悪かった世界が、物語のかなり後半、二人称で展開するパートに至って、ようやく彼らのなかに自分を定位することができた。
個人的には邦題よりも都市SF味を感じさせない原題The Ten Percent Thief(一割民の怪盗)のカッコ良さが好きかな。
しかしこの世界、鈴木次郎吉率いる鈴木財閥が支配してそうな名前だなあ(笑)
