
jirowcrew
@jirowcrew
2025年10月19日
方法序説
デカルト,R.,
谷川多佳子
かつて読んだ
「けれども、この書は一つの話として、あるいは、一つの寓話といってもよいが、そういうものとしてだけお見せするのであり、そこには真似てよい手本とともに、従わないほうがよい例も数多くみられるだろう。そのようにお見せしてわたしが期待するのは、この書がだれにも無害で、しかも人によっては有益であり、またすべての人がわたしのこの率直さをよしとしてくれることである。」
デカルトはこの書に「万人向けの方法」を記したわけではなく、一つのサンプルを提示したということ。一切の否定により到達した彼の命題が、今なお議論の中心に据えられるのは、徹底した否定により生成された命題は、(いくらかの肯定を混じえたそれよりも)主観的要素が色濃く反映されているという直感がはたらくからかもしれない。
「すべての人がわたしのこの率直さをよしとしてくれること」を期待するデカルトその人に、どこか清々しさを感じる。
