もぐもぐ羊 "まぶた" 2025年10月19日

まぶた
まぶた
小川洋子
続きから。 読みはじめたらあっという間に読み終えてしまった。どれも好みだった。 特に気に入ったのは「お料理教室」で、私がひそかに収集しているなんとなく奇妙でとんちきな出来事を小川洋子の文才で整えると不思議で美しい物語に仕上がるお話。 「匂いの収集」は恋愛小説だと思ってたら残りわずかの頁でジェットコースターのようにホラーテイストで締めくくられて薄寒い余韻に包まれる感じが楽しかった。 「リンデンバウム通りの双子」は老齢の双子の兄弟の自宅を訪ね、彼らが送ってきた人生が想像以上に過酷であったことにうちのめされた主人公が足を悪くしてアパートから外出できなくなったハインツを背負って階段を降りて外に連れ出し、思い出の場所を見ているうちにまるで自分が経験したかのように双子と同化した瞬間がよかった。 表題作の「まぶた」はまぶたのないハムスターのことが心配になった。 病変したまぶたを切り取る描写とか、眼球がずっと剥き出しのままで大丈夫なのか?など。 新潮文庫版の表紙の少女が着ているのがスクール水着だよね?と読後にふと思い、Nという男が一気に気持ち悪くなった。 プールに行ったふりをするために水着でシャワーを浴びる15歳の少女を眺める中年男性、どんなに身ぎれいにしていたとしても気持ち悪いよ。
まぶた
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