
かる
@karu
2025年10月20日
正欲
朝井リョウ
読み終わった
オーディオブック
「いなくならないから」が救い。
多様性は遠くからみたら美しいグラデーションかもしれないけど、近くでみたらうぞうぞと蠢く有象無象の群だと思う。
綺麗事もどうしようもないキモさも社会には存在していて、それをさまざまな人の視点から巧みに描いていると思った。
オーディオブックで聴いていたので、耐え難い相容れない視点も飛ばすことができなくて良かった。
私という一人の人間にはさまざまな属性やレッテルが貼られ、私の中にはさまざまな趣味嗜好が存在するので、マジョリティなこともあればマイノリティなこともある。
登場人物のそれぞれに仮託された大小の属性や嗜好や苦痛に、私の中の明確に名付けられない属性や嗜好や苦痛が共感したり反発したりしてもやもやした。
SNSでレコメンドされたものばかり見ていると、このもやもやが「あなたはこういうものを好む」という大いなる力で先鋭化し、とげとげしていってしまうので、この小説を読めて良かったと思う。


