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@bunkobonsuki
2025年10月21日
ペッパーズ・ゴースト
伊坂幸太郎
未来が視える教師の体験談。
生徒が書いた悪人退治の小説。
テロ事件の遺族による告白。
三者の物語が入れ替わり、溶けあう物語。
それこそが「ペッパーズ・ゴースト」である。
超能力や超常現象が混じりあったミステリは、なんでもありになりがちだ。それだけに「ああすればよかったんじゃないの?」と言いたくなるものもある。
しかし、本作は型破りな世界観でありつつも絶妙に「なんでもあり」を回避している。本作の主人公の未来視能力も、飛沫感染(!)しなければいけないため便利ではない。
次々に不可思議に見舞われるのに、なぜか納得してしまう。そんな作品である。


