
カササギ
@Kasasagi_shobo
2025年10月21日
その猫の名前は長い
イ・ジュへ,
大阿久佳乃,
牧野美加
まだ読んでる
読書日記
私たちが坡州(パジュ)に行くといつも天気が悪い
その猫の名前は長い
経験していないはずなのに深く理解できる、分かった気になるほど身近に感じる物語、どちらも。
坡州のお話の方は、英詩をベースにしているところをうまく読み取れた気はしないが、短いながらも子育て世代の女性には覚えのある感情が多く描かれ、読者会かなんかのテーマ本として最適かもしれない。解体していくとまた違う景色が見えてきそうな深みのある作品だと思う。
表題作の方はたんたんとヒロインの人生を振り返っていくようなお話だが少しファンタジックで夢をみているような不思議さがある。日本が半分の舞台として選ばれているのは少し嬉しい。社長との年齢差のある友情のような関係性を思うと、なんだか後からじわじわその良さが込み上げてくる。互いの秘密を暴くことなく秘密としたまま共有できる人がいるというのは良いことなのかもしれない。他人には理解できないし定義できない関係性をふたりは生きていた、そういう同志がいて良かったのかもしれない。
誰かを“待たせる”こと、そして存在の“重さ”、そのふたつについて、そこに一緒に留まってじっくり考えていたくなる。









