
たにこ
@chico75_11427
2025年10月22日

傷を愛せるか
宮地尚子
読み終わった
@ カフェ
いろんな傷がありながら(視覚的にも、精神的にも)、恥じずに受け入れて傷と共に生き続けることを書かれたエッセイ。
心が暖かくなるエッセイでした。
Reads内で話題になってたので図書館で借りてみましたが読んでよかった。



たにこ
@chico75_11427
心に留めておきたいと思ったところ↓
「幸せになんてなれるはずがない」と思い込んでいた人、「幸せになんてなってはいけない」と思い込んでいた人には、過去の呪縛から解き放たれるための言葉が必要になる。恐怖にすくんだ人が足を伸ばし、歩きはじめるには、未来を捕捉する言葉が必要になる。
実際の命綱やガードレールがどんなに頼りなくても、人はなにかが、もしくはだれかが、自分の安全を守ろうとしてくれていると感じるときにのみ、人として生きられる。現実のもろさや危うさの中で、未来を捕捉することは実際にはできないからこそ、希望を分かち合うことによって未来への道筋を捕捉しようとする試み。予言。約束。願い。夢。
明日、天気になあれ。みんな、幸せになあれ。そう思い、そうつぶやく。そう暗き、そう歌う。(P51)
自分がだれにも連絡を取らず、だれからも連絡がないまま休日が過ぎると、世界にひとり取り残された気がして、自分なんて存在しなくてもいいんじゃないかと思ったりする。そういうときも「ああ、これは明日の出会いの前の静けさなんだ」と思える。(P55)
人生の軌跡を長い目で見れば、ジグザグのように見えて一直線の場合もあり、まっすぐ迷わず進んできたはずなのに大きく湾曲していることもある。寄り道のつもりだったのが案外近道だったり、最短距離だと思って選んだ道が行き止まりになってしまうこともある。なにが近道でなにが遠回りなのかは、人生の最後になってみたいとわからないのだろう。きっと。
空は広く、道はない。紆余曲折。試行錯誤。なんでもいい。それでも行きたいと思っていた方向にいつか人生は収束していくのだと、どこかで深く信じていたい(P143)
くりかえそう。
傷がそこにあることを認め、受け入れ、傷のまわりをそっとなぞること。身体全体をいたわること。ひきつれや瘢痕を抱え、包むこと。さらなる傷を負わないよう、手当てをし、好奇の目からは隠し、それでも恥じないこと。傷とともにその後を生きつづけること。
傷を愛せないわたしを、あなたを、愛してみたい。
傷を愛せないあなたを、わたしを、愛してみたい。(P167)