Sanae "熊はどこにいるの" 2025年10月23日

Sanae
Sanae
@sanaemizushima
2025年10月23日
熊はどこにいるの
傷を抱えた女性たちが山で自給自足の生活をしているところ、拾ってきた子供を育てるストーリーで始まる。そして、いろんなことがちょっとずつ絡まっていく。 子供はどこから来たのか、母親は誰なのか、父親は誰なのか、誰もわからない。日本にある社会問題が垣間見えるようで、ハッとする。 山に住む女性たちは子供を迎え、少しずつ住人の関係性が変わっていく。生活環境が閉鎖的であり、女性である故なんだろうか、嫉妬も見え隠れする。 このような閉鎖的環境で生活している一人、リツという女性が気になった。子供の時に性暴力を経験したトラウマがあり、男性は絶対拒否なのだが、家父長的な面があり、子供を迎えてトラウマを乗り越えるのではなく、違う方向に行ってしまう。 このストーリーででてくる食事はどれも美味しそうで、皆ができることをして補い合って生きているように見えるが、実は助け合って生きているわけではない気がする。 子供に向けられているのも慈しみであることは間違いないのだが、それを取り囲む女性たちの関係性がどんどん歪になっていき、社会にある(ちょっとイヤな)人間関係の姿を究極の形で見せつけられたような気がした。 性暴力の場面、子供の孤独、母親たちの絶望に比べればとるに足りないものかもしれないが、それも同じように重く印象に残った。
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