
結城
@aori
2025年10月24日
天人五衰
三島由紀夫
読み終わった
読了ー!
2022年末辺りから読んでいた『春の雪』から続く『豊穣の海』が終わりました。
3年近くかけて読んだのね…。
『天人五衰』というタイトルが聡子にかかるのではないかと思ってどきどきしていたけど、そういう感じではなくてそこは安心した。
『春の雪』『奔馬』で「神」として描かれていた宮家の代わりに『暁の寺』でタイの王女の精神的支配者として「神」的なものになった慶子の傍らで全てを「見て」いた本多が同じく「神」を引きつごうとして失敗したこと、その失敗作としての透に対してのタイトルかな、と思うので本当に透が「贋物」だったのかなとも思っている。
「神」的な偶像の力が凋落し、転生した「本物」を生かせずそのまま腐らせてしまったというような気もする。
それにしてもラストの聡子!
本当に忘れてしまったのか、しらを切っているのかはわからないけど、『春の雪』で月修寺に清顕の代わりに行った本多の前に現れた尼僧が聡子だと思っている私にとってはある意味で納得の展開だった。
あの尼僧が聡子であるならば、あのとき本多(清顕の目でもあった)は聡子の記号的な幻影しか見ておらず本物の聡子を否定したということになるわけで、その本多が60年の人生を聡子のひと言によって足元から覆されたのは因果応報を感じる。




