
さおり
@prn990908
2025年10月25日
わたしたちが光の速さで進めないなら
ユン・ジヨン,
カン・バンファ,
キム・チョヨプ
読み終わった
あいまいなものと隣合っている.その存在を確かめることはできないけれど「いる」と思うことができる.それはきっととてもやさしいことだと思う.自分の中にある、そういう感情のかたちをなぞらせてくれる作品だった.SFに触れるとき、その世界観に没頭しつつも、冷静に距離をとっている自分がいて、いつもどこか遠くの、美術館で額縁に入った絵画を鑑賞しているようなそんな感覚が付き纏っているんだけど、でもこの作品を読んでいて感じたのは、生活や日常で、SFという枠組みにある大きな歴史や事件の話ではなくひとりひとりの思い出の記録に柔らかな光が当てられている、そしてそれがつくる陰影が木漏れ日みたいに揺らめいていて、それを見つめているのが心地よかった.もっと読みたい、と思った.

