わたしたちが光の速さで進めないなら

318件の記録
- やひろ@ty23yhkih2025年10月3日読み終わった読み心地の良いSF短編集でした!終わりに近づくにつれ、他の作品も読みたいなあとなりました。 著者あとがきの最後を読んだら、他の作品も読むぞ!となりました。書店いくだ。
- かもめ通信@kamome2025年9月28日読み終わった前々から気になっていた韓国の人気SF作家のデビュー短編集。切なくて、優しくて、しなやかな中にもたくましい芯が一本通っている、そんな七つの物語。とりわけお気に入りは表題作と「共生仮説」。
- みらの@fumi87722025年9月19日読んでる@ 本の読める店fuzkue初台なんて素敵な作品なの fuzkueで読んでいるというのも相まって、あまりにも至福の時間すぎる お酒も飲んじゃってさ〜 ありがとう本当に
- Kae@kae2025年9月14日読み終わったSFがすきだという自覚はあったもののこの本は物理や生物がテーマのひとつになっている短編集で、理系科目を避けて避けて生きてきた身にとっては物語の主軸を掴む前に何度か挫折しそうになった…。とはいえ、世界観に慣れてしまえば惹き込まれる作品ばかりだった。韓国文学もっと読みたい。
- Lily@balaton_242025年9月10日読み終わった現実とは異なる世界を描いているからこそ、人間味が、複雑な感情が浮かび上がり私の心を揺さぶった。どのお話も本当に良くて、、最高でした。 p.50 そしてわたしたちはやがて知ることになる。その愛する存在が相対している世界を。その世界がどれほどの痛みと悲しみに覆われているかを。愛する彼らが抑圧されている事実を。 p.201 もちろん、そうでしょうね。あなたはこのなかで生きたことがないから。だけどわたしはね、自分の憂鬱を手で撫でたり、手のひらにのせておくことができたらと思うの。
- もゆみ@aumoe_2025年9月9日読み終わった『派遣者たち』を読んで、他の本も読みたくなって読みはじめたSF短編集。 『共生仮説』『館内紛失』『わたしのスペースヒーローについて』が特に好きだった。
- りなっこ@rinakko2025年9月8日読み終わった再読。4年ぶり。そこにあるのは遥かな未来や異星の眺めなのに、どこか懐かしさを抱かせてくれる優しい作風が好ましい。見知らぬ遠い場所への憧れと、人とは違う存在や異なる知性を慕ったり敬意を持つ人たちの話がとてもよかった。 とりわけお気に入りは、わからない相手のことをそのまま受け入れあうヒジンとルイの静かな交流が美しい「スペクトラム」や、リュドミラの寂しさが後をひく「共生仮説」、ジェギョンおばさんの選択がナイス…と思った「わたしのスペースヒーローについて」。
- しき@shikishaa2025年9月2日読み終わった読み終わった! あとがきより 「人々がある物質を所有し、その物質によって情緒面での欲求を満たせるとしたら、感情そのものを所有したがることもありえるのではないか?」
- akamatie@matie2025年8月29日読み終わった韓国のSFってどんなものだろうという好奇心から読み始めた一冊。 ガチガチの未来予測や、技術と人間の倫理の対立といった典型的なSF要素はあまりなく、最初は少し物足りなさも感じた。でも、読み進めるうちにこの短編たちが描こうとしているのはテクノロジーについてではなく、つながりや喪失、人間と他者との関係性なのだと気づかされる。 外部との接触を断ってルッキズムを排除した村に暮らす人々、言語や生命観が根本的に異なる種族との出会い、私たちの自我の起源に迫るような宇宙的存在との接触など どの話も、人はどうやって他者と理解し合えるのか、なぜ分断が起こるのかといった問いを投げかけてくる。 表題作「わたしたちが光の速さで進めないなら」では、冷凍睡眠やワープ航法によって引き裂かれた家族の物語が、行政職員と取り残された老人という二者の視点で描かれる。光の速さでは進めない人間の身体や心、制度の冷たさ、それでもなお求めてしまう家族とのつながり。このジレンマは、今の社会でも度々目にする悲しみだと思う。 隣国韓国の女性が描いた作品だからこそのシンパシーなのか、細やかな感情や心の距離感がじわじわと胸に沁みてくる短編集だった。
- ひいらぎ櫂@shaki31222025年8月25日読み終わった図書館不思議な読後感。 ワープ航法や人体改造など、SFど真ん中の設定がありつつも、内容に現実感がすごくある。 布団の洗濯待ちの間に読了。 消防士に向いてるんじゃなかろうか。
- あさだ@asadadane2025年8月23日読み終わった小説すき喪失感やもどかしさ、やるせなさがありながらも読後感がとても良い。SFって現実離れしていてとっつきにくい印象だったけど、この作品は現実と地続きになっていて入り込みやすかった。あらゆるマイノリティへ寄り添っていてあたたかみを感じる。
- みやこ@mii_252025年8月22日読み終わった題名に続く言葉を考えたくなった わたしたちが光の速さで進めないなら、どうするのか 怒る、悲しむ、もがく、いまの幸せを大切にする…? 「感情の物性」で語られていた、負の感情をあえて購入する意味が印象的だった
- 💛@okiotashikani2025年8月17日映画をみていて、「共生仮説」を思い出して再読。創作物に受け取り方のヒントになるかもしれない。『星の王子さま』でいろいろな惑星があって、そこにいる者たちのストーリーがあるように、リュドミラの惑星がある。きっと創作物はこんなふうに、私が今いる場所とは別の場所のことを描いている。ミクロコスモス。
- Malt@Malt2025年7月22日読み終わった複雑な描写も難しい専門用語も出てこないSF。 新しい世界の話だけど、そこに生きる個人や人生に焦点があって、現実世界の自分にも共感を抱ける感情ばかり。 表題作の「わたしたちが光の速さで進めないなら」がお気に入り。
- ばま@33yen2025年7月10日読み始めた文庫が出ていたので昨日買った短編集。 とりあえず1つ目の『巡礼者たちはなぜ帰らない』を読了。 たしかに、地球に住めなくなり、地球外で人類が生活するのが当たり前の時代が来たら、その時地球に行くことが“巡礼”になるのかもしれない。地球が“聖地”とされるのかもしれない。 時系列がまだ頭の中でハッキリしなくて、難しかったけど面白かった。
- nishi@nishi2025年6月24日読み終わった@ 自宅SFを滅多に読まないけれど、本当に手にとって良かった。中でも「共生仮説」が好き。カシワイさんの装画も素敵。 著者あとがきの『追い求め、掘り下げていく人たちが、とうてい理解できない何かを理解しようとする物語が好きだ。』という言葉の通りの物語たち。心地良い読後感の短編集。
- ラリン@rukiakun_2025年6月18日読み終わった借りてきた「スペクトラム」が良かった。ヒジンは学者としての成果を捨てても虚言癖だと言われてもルイやあの惑星を守りたかったのかな、と思った。でもあの記録さえあればそんなこと気にならないのかもな、とも思った。愛おしい作品でした。
- torajiro@torajiro2025年6月8日読み終わった科学的な知識からの触発や参照はあるし異星人とのコンタクト、宇宙旅行、記憶や人格のデータ化などSFの歴史にもしっかり乗った設定も多いがあくまでも読みやすいソフトさでSF初心者にも読みやすい。最近注目される韓国文学の流れもしっかり汲んでいてフェミニズムをはじめとして排除されていたもの、弱さとされていたものを照らしつつ人生や家族などの機微を描く短編集。どれも良かったけど特に思考を刺激されて好みだったのは「共生仮説」「感情の物性」。「感情の物性」は同じテーマで長編も書きたいとあとがきにあったのでいつか読めるのを楽しみにしたい。
- 長月雨@september_rain2025年6月7日読み終わった宇宙を征服しようとする人間の傲慢さを思う。 他方、宇宙に背を向け海に飛び込んだ人がいる。彼女もまた、欲深く身勝手であることに変わりはない。 自分が何かを手に入れた裏で、誰かや何かが犠牲になっているかもしれない。そんな自分の加害性を認め、自分もある程度の犠牲を許容しながら謙虚であること。私とあなたが共生すること。自分さえよければ良い、ではない生き方をしたい。
- book & wine 方方@houbou_enzan2025年6月5日読み終わったSF的設定が秀逸な作品ばかり!しかも読みやすい!表題作のと、スペクトラム、感情の物性が、好きだった。各短編のタイトルが、かなりうまいと思う。素晴らしい短編集。
- 💛@okiotashikani2025年6月5日「館内紛失」は故人の“マインド”を保管する図書館で母のマインドに何故かアクセスできなくなるという話。母と子、不可視化される存在がテーマになっていると思う。
- 💛@okiotashikani2025年6月5日読み終わったSF短編七作品。「巡礼者たちはなぜ帰らない」は特に何度も読み直したくなる(他の作品も何度も読みたくなるものだった) 恋愛規範を感じたものの、女性同士っぽいのは好きポイント
- saki@53hon_to2025年6月4日読み終わった図書館で借りたふだんSFを読まないのと、翻訳本なんて『星の王子さま』以来(これもよくよく考えるとSF……?)だったのでゆっくり時間をかけて読んだ。 SFって先入観からどうしても無機質的に考えがちだけれど、この物語は「今」を生きる人々が抱える孤独や寂しさだったり、どこか哀愁に満ちた空気感だったり、人が人を思う気持ちや生きかたに対しての意思が丁寧に描かれていた印象。 いつかの遠い未来、もしかしたらこんな時代がくるかもしれない。テクノロジーや文明の発達で、宇宙はそう遠くない場所になるかもしれない。それでも変わらないものが必ずある、そう信じたくなるような読後感。
- 私の個室@yuco702025年6月4日読んでる映画「はちどり」キム・ボラ監督の次回作原作ということで買ったSF短編集。まだ最初の数作しか読んでないけど、どれもハッとする設定。いつもいつもSFを読んでいたいわけではないので気が向いたら読みたいという感じ。
- ぶち子@buchiko2025年6月2日読み終わったこれまでSFっぽいものとあまりご縁がなかったけれど、どれも人間(?)らしくて面白かった。 これだけすんなりと入ってくるということは、訳も素晴らしいんだなって実感する。 『老人』という言葉が出てきたとき、勝手におじいさんを想像していて、自分の固定概念にハッとした。 個人的には「館内紛失」がいちばん好き。
- かにめんちかつ@manapo232025年5月31日買った読み終わった人の価値観は、この世界を、宇宙を解明していくごとに、当然変わっていくものだろう。 だけど、ヒトという生き物は厄介だから。 愛なんて見えないものを信じて、 夢を見る生き物だから。 どんなに価値観が変わっても、 変わらないものがやっぱりある、 と信じることができるような、希望が詰まった物語でした。
- 垣本@kakimoto2025年5月15日読み終わったsfだけど理屈がズラズラ並ぶタイプではなくあくまで感情が主体なので普段sf読まない人にもおすすめです ハイカロリーsfを続けて読んでいたので清涼剤のようだ…… 「わたしのスペースヒーローについて」が一番好き 「わたしたちが光の速さで進めないなら」も好き sf、未来と言いつつ女性観は執筆時期相応(よりちょっと古め)が多いからなぁ……
- ちゃんちぃ@tundoku_darake2252025年5月8日買った読み終わったSF韓国のSF、面白い! かなり社会問題にも絡めて描いていて、風刺というか毒を吐いていたりしてすごく面白い! SFって難しい科学の話が多いしとっつきにくいイメージだけど、こちらは柔らかめのものが多くて読みやすい。
- 🐳💫@4681220pla2025年5月4日読み終わった感情の物性好きだった。イヤシやオチツキだけじゃなくてユウウツ体とフンヌ体まで売れているのはどうしてだろうって私も思うけど、私も悲しいだけの切り抜き動画をTikTokで見たりするもんな。
- Michika@0610shun2025年4月26日読み終わった人が人を思う気持ちは 目に見えなくても 確かに存在するのに、 このもどかしい距離を埋めることは いかなる技術をもってしても 難しいことなのだと感じるSF小説🛸
- 大吉堂@daikichidou2025年4月15日読み終わった『わたしたちが光の速さで進めないなら』(キム・チョヨプ、カン・バンファ・ユン・ジヨン・訳)読了 SF短編集。 各作品を読むと、SFは世界を創るものだという思いを強くする。 かと思えば、個人の感覚や想いに則した描写があり、その人物の目を通してまた世界が描かれる。世界を映すカメラが大きく引いたり寄ったりすることで、世界からはみ出たものにも焦点が合わさる。それがSFの力であり、キム・チョヨプ作品の魅力なのだろう。 ここで描かれる世界が好きだなあと思える、幸せな読後感があった。
- りら@lilas_lilacs2025年4月2日かつて読んだまたいつかどんなに技術が進歩しても人は孤独を埋められない。話したくて、会いたくて、叶わないとわかっていてもあきらめきれず手を伸ばす。わたしたち人間は、これから先も愛を求め、孤独がもたらすさみしさや切なさとともに生きていくのだろうな
- いるかれもん@reads-dolphin2025年3月29日読み終わった感想小説実は韓国文学も、SFにも馴染みが薄がったが、表紙に引かれたという単純な理由で読み始めた。が、しかし、1行として読み手の目を離さない心地よい緊張感のある文章で、作品世界に引きずり込まれたと思う。一つ一つの作品がまるで長編小説を一つ読んだくらいの読後感があった。毎朝通勤電車の中で一作品ずつ読んでいたけど、深呼吸をして、一杯のコーヒーを淹れ、一息つくような、そんな心を澄まされる感覚になっていた。この人の作品はずっと読み続けたい。文句なしで素晴らしい。
- Miyoshi@miyoshi2025年3月25日読み終わった@ カフェSF短編集。そのほとんどが、終盤で「理解」という言葉が直接的に出てくるか、または故人の遺志を理解したという内容になっていて、この著者にとっては他者を理解するということが重要なテーマなんだなと思った。 一番刺さったのは「館内紛失」。故人と再会できるという設定の話はたくさんあるが、たいていはその故人との関係回復がメインストーリーになる。この話はそこをゴールとするものではないところに好感が持てた。もう変わらない、変えることはできないけれど、いまできることをその時々でするしかないのが実際の人生だから。
- きよ@kiyomune2025年3月23日読み終わった「感情の物性」があまりによく、その話を読んだ余韻のまま、数ヶ月ほど本を棚に戻していた。今日、残りの2篇を読んで読了。 どの話にも、しっかり掴んだ学識をベースにした世界観と、現代の、見なかったことにされがちな問題から目を逸らさない登場人物の眼差しが息づいており、静けさに満ちている。 「感情の物性」が好きなのは、ユウウツ体を手放すことができないボヒョンの悲しみが、あまりに切実だから。 憂鬱が、自分の手の中で、自分の意思によりコントロールできる――なんなら、食べてしまえるくらい手軽なものであってくれたらいいのにと、私も強く思う。
- 甘夏@Amanatsu_072025年3月22日読み終わった種族、価値観、言語、生きてきた環境が違えば、見えている世界はまるで別のものかもしれない。互いを完全に理解することは本質的に困難であり、時には不可能にすら思える。それでも、そんな隔たりを越えて、心が通じ合うことがあれば、それを愛とよぶのだろう。
- 水色のゾウ@fuwafuwa_no_zou2025年3月20日読み終わったSFっぽくないSF短編集。 Xのおすすめ欄でたまたま見たタイトルと表紙に惹かれ購入。 ひとつの話を読み終わっては、この話が一番好きかも!、となるのが毎回更新されてすごかった。 次はどんな話が待っているのかとワクワクしながら1編ずつ大切に読んだ。 どの話も温かくて、それでいて少しの寂しさもあるような、不思議な感覚。 短編集としては統一感あるタイプだったので、他の単行本や長編作も読んでみたくなった。 翻訳文も海外文学初心者でも読みやすかった。
- H_O@H_O2025年3月12日SF作品は好きな方なのですが、個人的にはかなりの良著だと思いました。 愛情という複雑な感情とSFというミステリアスかつロマン溢れる舞台で織りなす短編たちの引力がとても心を惹きつけます。 韓国SFに興味を持たざるを得ない1冊です。
- jyue@jyue2025年3月9日読み終わった3月某日(土) あつ森で休日出勤、7時間労働。 3月某日(日) 夢を見た。行きつけのビストロに柴田元幸さんがいた。柴田さんもここが行きつけだと言う。握手だけしてもらい窓際の席へ。ああ嬉しいああ最高と思いながらハウスワインを頼み、持ってきた文庫本を読む。そういえばオースターだったのでサインしてもらえばよかったと振り返った席にはもうだれもいなかった。もう一度みたい夢。 残念ながら二度寝できず、早朝から『わたしたちが光の速さで進めないなら』を読む。韓国文学の良さは「静けさ」にあると思う。読んでいる間、少しだけ寂しい。なにもない、がそこに在る。でもその寂しさのなかに光がある、未来がみえる。例外なくキムチョヨプ氏の本も良かった。なんだか良い意味で神経が尖る、鋭敏な感覚。散歩がてら花屋へ行き、球根付きのチューリップの原種を買う。久しぶりの晴れ。太陽がガラスの花瓶に反射して、壁に光の形を作った。チカチカする気持ちを抑え、次に何を読むか考えていたら眠たくなり昼寝をした午後。
- kadra@Ximillia2025年3月9日読み終わった読書メモわたしの初めての著キム・チョヨプ。 時間や空間って不思議だなぁ、共有しているようでその深部は人によって違うし、感情の落差があるところ、永遠に魅力的なんだろうな
- 雫@sukinamono2025年3月8日読み終わったSF作品に今まで触れてこなかったので不安だったけれど面白かった〜! 多分今、宇宙一SF世界を楽しめている女だと思う。 この気が遠くなるような宇宙について知ることを諦めるには、あまりにも魅力的すぎるのでした。
- 桃@6_mndk2025年3月8日読んでるまだ読んでる@ 自宅はじめてのSF。これまで触れてこなかったジャンルだけど、こんなに不思議で柔らかくて優しいお話がたくさん読めるなんて。じんわりしながら読み進めています。
- 雪餅@yuki3daifuku2025年3月7日読み終わったここ最近で読んだ中でベスト SF作品でこんなセンチメンタルな気持ちになれるなんて好きになるしかないよね p.166 わたしたちが光の速さで進めないのなら、同じ宇宙にいるということにいったいなんの意味があるだろう?
- あるる@aru_booklog2024年11月15日かつて読んだ館内喪失が一番心に刺さって離れない。繊細な言葉で離れ離れになった人の姿と心を描いている。人が人を想った結果として技術が発展していく世界は優しいなと感じる。それでも完全には程遠く、不安定な人間がより愛しい。
- 村崎@mrskntk2024年11月9日よかった〜〜!!SF、宇宙、愛!そしてひとりの人の生き方を描いている短編集。亡くなった母に会おうとする「館内紛失」、心をデータ化する「マインド」が、図書館内にあるはずなのに検索に引っかからないという設定的にも大好きな話だった。その人をその人たらしめる遺品ってどういうものがあるだろう、その人が「遺した」ものって、だれでも持っているわけではない。女という性別にうまれて、子どもをうんで、「母」になったキム・ウナと、娘であるジミンが個々として出会い何を思うのか。どの短編も個を尊重していてそれがいい。SFの、舞台は壮大だけど、そこに生きる/生きてきた小さな存在に光を照らすところがすごく好きだな。 「共生仮説」の知らないうちに地球外生物が脳内に入り込んでいて、子どもを育てていた…というトンデモ設定もおもしろく、ゆいいつ生物の記憶を忘れなかったリュドミラと生命体の不思議なつながりも愛を表現していて、初めて知るのに懐かしい、読後感は郷愁感あってよかった。 表題作「わたしたちが光の速さで進めないなら」コールドスリープを繰り返しながらもうやってこない宇宙船をひとり待つ老婆(これだけで好きでしょう)、地位や栄光、家族、実績…すべてを手に入れることなんて無理だけど、光の速さで進めなくても希望を捨てたくはないよねって思った、爽やかなラストがいい。 「わたしのスペースヒーローについて」宇宙ではなく海に潜ることを選んだジェギョンおばさん、宇宙の先の景色を選んだガユン。ヒーローと讃えられたり夢をあたえたり憎まれたり逃げたと批判されるジェギョンも、ただひとりの人間であることが丁寧に描かれている。ジェギョンはガユンにとってスペースヒーローだけど、ガユンは彼女とはまた違う景色を見て、そこにおおげさな感動や押しつけを持たずに、でも伝えたい気持ちを持ったという静かな結末がとっても好きでした。