
米谷隆佑
@yoneryu_
2025年10月26日
木
幸田文
読み終わった
幸田文の文章は初めて読んだけど、曽祖母くらい離れた彼女がこんなに読みやすい「いい文章」を書いているなんて驚いた。
木と人間の生き方を重ねた文章を読んで、幸田文の考える「老い方」や「生き方」がとても律儀で、身体的な表現が豊かだと感じた。植物を見に出かけて感動して記録し、元気いっぱいに帰ってくる姿からは、とても老いた人とは思えない。好奇心に満ちて、過去を巧みに振り返る文章を読んで、日本語の大きな文脈から失われた「いい文章」を感じて悲しくなった。幸田文の文を読み終えて解説する佐伯一麦氏の指摘は鋭い。
“モームが列挙している「土壌」の条件を裏返すと、戦後五十年間の日本の社会が見えてくる。礼儀を軽視し、派手な流行を身にまとい、軽薄か生真面目かで、偏りがちで「熱狂」に染まりやすい。そして、そこで書き流される文章は、「育ちのいい人の座談」ではなく、育ちも趣味もかんばしくない人の仮装行列のようだ…..。”
