ねこ "凍りのくじら" 2025年1月28日

ねこ
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@notoneko25
2025年1月28日
凍りのくじら
凍りのくじら
辻村深月
「なにも望まないということは、信じられないくらいに深く暗いよ」
「この光の効力が続くうちに、自分の力でどうにかするんだ。大丈夫、君なら必ずそれができる」

望むことで傷つけられてきたから、傷つかないために、なにも望まない。それは強くないと出来ない生き方だ。孤独そのものだとも思う。

物語の最後で、彼女は照らしてくれた光が自分の内側にあったこと、それを信じること、他人を信じ愛する生き方を選ぶ。

私は、主人公がそれを選択するまでの過程全てに意味があったと思った。この子の人生には意味があった。痛みを許し、痛みに許されるまで、時間と対話が必要だった。最悪な出来事も、人を見下した考えも、孤独も痛みも苦しみも、全部が最後光に照らされて意味のあるものに変わっていった。
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