
記憶の本棚
@kioku-no-hondana
2025年10月27日
儚い羊たちの祝宴
米澤穂信
読み終わった
【優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な5つの事件】
それぞれ独立した話(短編集)だが、物語が進むにつれ、上流階級に身を置く、学も品も備わった人たちが在籍する「バベルの会」という優雅な読書サークルの存在が、なんだか不穏な存在に変わっていく。
一話一話読む毎に、ぞわ〜っと陰鬱な怖さが味わえます。解説でも言われているように、特に『玉野五十鈴の誉れ』のラスト一行にはスタンディングオベーションでございます。
短編なので、どの物語も話の展開が早くて、さくさくぐんぐん読めて面白いです。
上流階級という煌びやかで華やかな世界の物語のはずなのに、読めば読むほど暗く陰鬱な世界に彩られていくのがミステリーホラーっぽくて最高でした。
あとどの物語も結末に意外なオチが用意されていて、「えっ⁉︎」と息を呑む感覚がまた最高でした。
あと、G・K・チェスタトンの「ブラウン神父シリーズ」の短篇「イズレイル・ガウの誉れ」や、スタンリイ・エリンの「特別料理」など、この作品知ってる人ならまた一味違った面白さがあるんだろうなぁ…というものも多く、国内外のミステリー作品ももっともっと読みたいな、と思う次第でした。
