犬山俊之 "いつかみんなでごはんを" 2025年10月30日

いつかみんなでごはんを
「虐待サバイバー」として「解離性同一性障害者」として生きる著者のエッセイ。 自分が見知っていると思っていたこの世界も、他の人からは全く違った見え方をしているという、当たり前の事を改めて思い知らされる一冊。 本書を読むことで著者の日常をなぞっていると、途中突然出てくる性虐待ニュースに驚愕する。著者とは直接関係はない事件なのだけれど、その事件の被告側弁護人からの非道な台詞(レイプ加害者の罪を軽くするため、被害者を貶める内容)を目にし、読んでいる自分も動悸が激しくなって、ちょっと胸が苦しくなってしまった。 気持ちを落ち着けてから、改めて、著者は大丈夫だったろうかと、読み進めると、果たしてショックで過呼吸発作を起こしたとのことだった。フラッシュバックのきっかけや二次加害が至る所にある世界。こんな世界を生きなければならないのか。 本書のタイトル『いつかみんなでごはんを』は、著者のパートナーの方がかけてくれた言葉だという。「みんな」を思いやってくれるそのやさしさに救われる(「みんな」については本書をお読みください)▼
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