
あめ
@candy33
2025年10月30日

青い壺 (文春文庫)
有吉佐和子
読み終わった
読書メモ
小説
青い壺を軸にした短編集。初出は50年ほど前。
戦争を体験した人たちや戦後生まれの人たちの昭和生活のリアルが、淡々と簡潔な筆致で描かれている。
ひとつひとつの話は、なにか大きなことが起こるわけでもなく、全てを事細かに描写しているわけでもない。小さなことを重ね、いろいろ抱えながら人生が続いていくことを示唆しているようである。ドラマも誇張もないのに、引き込まれてしまう。
これらの、ある意味未完の日常のストーリーを青い壺がつないでいく。
最後の再会と決意が、昭和を生きた人の強さを感じさせる。
ちなみに、文字通り真っ青な壺を想像しながら読んでいたが、読み進めるうちに宋の時代の青磁とわかり、脳内壺修正。
平松洋子さんの解説を読んで、私も一度宋の青磁にお目にかかってみたいなあと思った。