青い壺 (文春文庫)

105件の記録
ほんのうに@bk_urchin2025年11月16日読み終わった@ カフェ青い壺が、作られてから十年間様々な人の手に渡り、そこで起こる人間模様を描いている連作短編集。 昭和特有の(?)歯に衣着せぬ物言いが、読んでいて気持ちがいい。(ストレートに伝えているけど、相手がそれを受け入れるかはまた別なので、遺恨が残らないような) 印象に残ったのは… 第七話 戦時下の食糧難の中、裕福な家庭の夫婦が想像の中でフルコースを食べる。戦時下の統制で渇いていた体に贅沢が油のように染み渡ることで、心が晴れていく様子が描かれている。 第十話 とにかく姦しい老婦たちの同窓会旅行。"行く前は不安だけど、行ってみたら(文句はあっても)楽しい"は時代問わず万人共通なんだな。 第十二話 病院の清掃婦が、患者の見舞い花から枯れそうなバラをもらい、乾燥させて、バラの花の枕を作る。狭い寝室の中の枕の甘い香りが伝わってくるような描写が印象的。 生活、仕事、文化、人間がどの話の中にも詰まっていて、読み応えのある小説だった。

あめ@candy332025年10月30日読み終わった読書メモ小説青い壺を軸にした短編集。初出は50年ほど前。 戦争を体験した人たちや戦後生まれの人たちの昭和生活のリアルが、淡々と簡潔な筆致で描かれている。 ひとつひとつの話は、なにか大きなことが起こるわけでもなく、全てを事細かに描写しているわけでもない。小さなことを重ね、いろいろ抱えながら人生が続いていくことを示唆しているようである。ドラマも誇張もないのに、引き込まれてしまう。 これらの、ある意味未完の日常のストーリーを青い壺がつないでいく。 最後の再会と決意が、昭和を生きた人の強さを感じさせる。 ちなみに、文字通り真っ青な壺を想像しながら読んでいたが、読み進めるうちに宋の時代の青磁とわかり、脳内壺修正。 平松洋子さんの解説を読んで、私も一度宋の青磁にお目にかかってみたいなあと思った。
🌾@kanaho_32025年10月7日買った読み終わった壺っていい字だねぇ なんだか最近本屋さんでよく見るなぁと思い 気づいたら買っていました〜読みました〜 私こういったひとつのピースがオムニバスの串になるお話ってだいすき。 甘えたで我が儘な田舎からやってきたお嬢さまがおばあさまになってから戦時中の幻のディナーパーティーの話をすること、のちに姑を看取ったお嫁さんがほろほろ鳥を食べにいくお話がとてもすき。
DN/HP@DN_HP2025年10月6日かつて読んだarchive有吉佐和子は小説が上手い。 わたしが生まれる前の時代、無名を選んだ陶芸家がものにした奇跡の一品、「青い壺」が旅をし辿り着いた先々で主に女性の視点から物語られる、絶対の秘密というよりも少しずつ漏れ出してもきそうな絶妙なラインの、ありそうである、家族の、友人の、ある一時の、人間関係の悲喜交交。それに、まだところどころには“戦後”がこびりついていたその時代。 それぞれの物語とわたしの間にある距離と差異に、分からなさ、反発、掴みきれていない本質もあるけれど、それでも読んでいるうちに自分を重ねて驚いてしまうくらいに感情的になってしまった話、部分もあった。 特に第五話の両目が見えなくなってしまった老母を東京の一人暮らしのマンションに引き取る話には、状況は大分違うけれど、自分の母親の顔が思い浮かんで、少し、とは言えない程度には泣いた。この一編のことを考えながら、暫く会えていない彼女にもまだ元気でいて欲しい、と思い始めるとまた鼻の奥がツンとしてくる。ああ。 そんな母娘を中心とした話には残酷さがあったり、わだかまりを残してはいても“良い話”としても読めたけれど、人の内心や関係性のなかにあるドロりとした暗い感情や思考を見せつけされる話、部分も勿論あって、というか大体がそうで。 そういうの見せられるの苦手なんですよね… と思いながらも読む手が止められなかったのは、冷静で的確な描写、さらりと乾いた文体、何気ないようで特別なフローと自然と乗せられてしまうグルーヴ、つまり、有吉佐和子の書く文章、小説の力があったからだ、と思ってみる。 そして、徐々に各編の登場人物が僅かに重なり合いながら全編を通して運ばれていく壺自体の物語。壺には感情も意思もないけれど、物語るための道具以上の存在感と意味がある気がしてきたところ、最後の一編で陶芸家と再会する様には各編にあったのとはまた別の感動があった。やはり偶然というものは存在する、と思いこめる瞬間。表だって書かれてはいなくても、そこにもうひとつの長い物語がありそれが浮き上がってきたのだ、と思わせれる。鮮やかである。やっぱり有吉佐和子は小説が上手い。 それと、直接的に家父長制を批判するセリフも出てきたりするけれど、全編通してフェミニズムが漂っている、ような気もした。文章自体が古びないのはClassicの特徴だけれど、そんなところにも今読む、読める、読まれている理由があるのかもしれない、と思ったのだった。有吉佐和子は小説が上手いし、その小説は色褪せない。とそんなふうなことも思ったのでした。と、書いてるうちにわたしの文章は散らかってきているけれど、でも良い小説を読んだのは確かである。





- しすかなおはなし@2025082025年10月5日読み終わったまったく繋がりのない人々にキレイに繋がっていくスタイル。沢山の人々に受け継がれていく様の小気味良さと、値段ではなく、持つ人がどう思って持つかがその物の価値なのだという気持ちにストンと落ち着けた小説。
みう@miu2025年8月17日読み終わった青い壺を巡るオムニバス形式の短編集。出てくるストーリーの人たちの思考がマウントを取っていることが多く、そんなにお金と価値を軸に人を比べなくても、、と思った。 でも青い壺という、ブランド価値もないけれど「ただ美しいモノ」を前にした時の人間性が表れているのかと思うと、それぞれのキャラクターが読み取れてとても興味深い。 ただ素敵だから渡す人もいれば、異国の地で売られてたから歴史的なモノに違いないと判断する人。 自分はモノを見た時に純粋に素敵だと捉えることができるのか。まだまだその自信はないが、本質を捉えて、自分が素敵だと思ったモノは素敵と言いたい。
まりも@marimomo2025年8月3日読んでる第九章の弓香さんの話。あれやこれやと荷物を出し入れしてずっと終わらないパッキングや、出発してみると98%は必要のない心配ごとに頭を悩ませる旅行前の様子が、そのまま自分にそっくりで、おかしくて愛着がわいてしまって何回も読み返してる
- まおとら@maotora2025年7月29日読み終わった評判が気になって 初、有吉佐和子。 いやいや、本当におもしろかった。 文体、ストーリー、登場人物、 どれもさすがさすが。 すっかり有吉ファンになりました。



ブックねこ@book-neco272025年7月12日買った読み終わった小説何回か読んで、その度に印象に残る場面が違ってくる。 昭和という時代の、今とは違う感覚も面白い。壺という無機質な物だけど、こんなに人にあげる?と思ったり、今ならアウトな価値観にハラハラしながら読んでしまう。
ひよこまめ@poischiche2025年6月28日読み終わった壺は人の手を渡り歩いて、美術品としての貫禄をつけていくのかもしれない。持ち主たちの会話と人生を蓄積して、古色をつけなくても、歴史ある一級品のような佇まいになる。 会話が生き生きとしていて、どれもそれぞれの声がそのまま聞こえるようだった。会話の中から見える人間関係がリアルで、喫茶店で隣り合った他人の話を盗み聞きしてしまっているような、そんなおもしろさ。


彩@aya_toto2025年6月13日今年、至る所で本当によく見る有吉佐知子。 ひとつの壺を巡って、繰り広げられる人間模様。いろんな人生のいろんな瞬間。 ドライな人間観察と軽い感じで読めるのも寝る前に最適でした。

- みずかん@mizzzkan2025年6月12日読み終わった完璧な青磁の壺は人の手を渡りながら人生のワンシーンを見つめる。壺は主役ではなく、大きな事件も起こらない。でも人間を上手く描くのでとにかくおもしろい。少しドライな目線が心地良かった。



piro@piro2025年6月12日買った読み終わった人から人へ、巡り巡る壺を通して描かれる様々な登場人物たちの物語。 そして、その邂逅を喜ばれたり、少し重荷に感じられたり、盗まれたり、安く売り捌かれたりする、数奇な壺の物語としても楽しく読めました。 この作品が書かれたのは、私が生まれた戦後30年の頃。 私が子供の頃はすでに戦争は遠いもの、、、というイメージでしたが、当時の大人たちにはまだ戦争が身近なものだったことを改めて知らされました。 それから、描かれる人々の人生が妙に生々しくしく感じるのは、私が歳を重ねたからでしょうか。 人の温かさも、世知辛さも読んでいて共感できてしまいます。家族間のあれこれは昔から普遍的なものなのね、、、と思うと、ぼやきのような文章もクスッと笑えます。 また、「美しいもの」を評価するものの曖昧さ。 値段、歴史、目利き、、、価値を決める基準は本当に正しいのかどうか。 約50年前の作品ですが、現代に生きる人にも十分通じる内容だと思います。


おでんち@odenchi2025年6月12日読み終わった話題になってたから読んでみたけど、なかなかにおもしろい! 時代が古いけど、日常の話、人々が思う事って今も昔もあんまり変わらないのね〜☺️ さつまいものフルコースの話はよかった。 自分の作った壺が巡り巡って自分の手元に来たというのに、作ったことを信じてもらえないのおもしろい🤣

かにまる@uri7142025年6月7日読み終わった@ 電車美しい青磁の壺をめぐる短編集 何かに対して美しいと感じる気持ちは同じでも、それにどれだけの価値を見出し、どう扱うのかは十人十色。価値というものの曖昧さを思うお話でした。 自分の身の回りの物で、こんなふうに長い旅をしてきた物ってほとんどない(大抵新品で物を買うから) 解説でも惜しみない賛辞を贈られている砧青磁、本物を見てみたいなあ 有吉佐和子さんの話は初めて読んだけど、文章がさらさらと流れるようで心地よい

- ヒソノソ@hisonoso2025年4月29日読み終わった@ 電車青い壺の神たる視点、ではないのだけれど、俯瞰される人生模様がどれもこれもおもしろい。いるいるこんな人というリアルからさらに一歩進んだ観察眼の鋭さよ。 職場の先輩に押し貸しされ、旅の友にちょうどいいなと持ってきた。連作小説なのにやめられず、ひのとり往復でつるっと読了。

ざらめ@theLahme2025年4月28日読み終わった某ラジオパーソナリティがちょこっと言及していたので読んでみた初・有吉佐和子。舞台は昭和だけど、語られるものは普遍的。こういうのを名作って言うんだな…としみじみと思う。
久保みのり|書店よむにわ@kubomisan2025年3月15日読み終わった美談や愚痴に収束する小説は、おもしろくない。有吉さんの小説はどこまでもリアルで、おもしろい。あぁどこまでも人間だ、生きるって意地汚いこともあるんだと思える本作、ほんとうの名作だ。



- こおろぎ嬢@cricket1900年1月1日読み終わった有吉佐和子大好きなのでついKindleで買ってしまった。ただ、買った時は小説を読むメンタルではなかったようであまり頭に入ってこなかった。しばらく日をおいて読んでみたらするすると読めた。本を読むのもコンディション次第。有吉佐和子は文章が読みやすくて良い。














































































