
ひなたの本好き
@054-10ps
2025年10月30日
復活の日
小松左京
読み終わった
@ 橘通り
読むまでは細菌のパンデミックに対する人類側の抵抗の話かと思っていたが、決してそれだけではない話。
『日本沈没』を読んだ時も思ったが、地震による日本消失もパンデミックによる世界的混乱も、小松作品においてはあくまで主題を炙り出すための装置でしかないのだろう。
終局を描き出すからこそ、それによって失われてしまわれてしまうものの価値、美しさが鮮明に浮かび上がる。
この作品における主題は、「人類の理性の在り方」だったのではないだろうか。
第一部終盤のスミルノフ教授の演説にそれが詰め込まれている。
初版あとがきで小松左京は20世紀後半の理性に対し大きな希望を述べていた。
翻って21世紀の今、分断が進み情報に踊らされる私たちを見て、小松左京はどんな言葉を紡ぐだろうか。

