
Lusna
@Estrella
2025年10月31日
マッカラーズ短篇集
カーソン・マッカラーズ,
ハーン小路恭子,
西田実
心に残る一節
お気に入りの一冊
さて、愛されるものもまた、どんな種類の人間であってもかまわない。奇怪きわまる人間であろうとも、愛の起爆剤となりうるのである。よたよたの曽おじいさんでも、二十年前のある日の午後、チーホーの通りで見かけた見知らぬただの小娘を、いまでも愛しているかもしれない。牧師が堕落した女を愛することもある。愛される者は、嘘つきで、汚い髪の、悪事の常習者であってもかまわない。いや、愛する者自身がこのことに、ほかのだれよりはっきり気がついていてもーーそんなことは、その人の愛の成長に、ちっとも影響を与えるものではない。どんな凡俗な人間でも、沼地の毒ユリのような、激しい、強い、美しい愛の対象となりうるのだ。善良な人が、狂った堕落した愛の原因になることもあるだろうし、たわごとをわめく狂人が、ある人の魂をゆすぶって、優しい素朴な牧歌を歌い出させるかもしれない。こういうわけで、すべての愛の価値と品質は、もっぱら愛する者自身によって決定されるのである。






