
猫島みい子
@cestopis
1900年1月1日
かつて読んだ
1970年代から80年代にかけて、コンゴで銅山開発に携わった日本鉱業。そこで働いていた労働者と現地の女性の間で50人から200人ほどの子供が生まれ、銅山を閉鎖して帰国の際にそのまま子供が現地に残されたと言う話。コンゴは父系社会のため父がいなくなった子供たちの多くは貧困にあえぎながら暮らしている。そういった事実を丹念な取材で明らかにした渾身の作品でした。
読んでいて色々な気持ちになりました。
父親たちの無責任さへの憤り。
糾弾しようと思ったらいくらでもできそうなのに、敢えて筆致を抑えた作者の姿勢に拍手。
子供達の存在を認めてようとしない元社員に唖然。
取材に応じながらも、掘り起こすべきではないと語った別の元社員の自己正当化への疑問。
やりきれない思いになる一方、コンゴ日本ハーフの子供達のために尽くし続けた田邊氏という元ビジネスマンと、佐野氏というシスターの人間としての誠実さや美しさに心洗われる。
ただ、読者があまりに「これは許せない」と糾弾すると、ますます名乗りにくい状況になり子供達の「お父さんに会いたい」という願いからは遠ざかってしまう気がして余計複雑な思いになる。
