
創
@hajime_8
2025年11月1日
新装版 虚無への供物(下)
中井英夫
読み終わった
ほんとうにおもしろいし、ありがとうという気持ちがある。
こんなおもしろい物語があるんだ。
反地球での反人間、その人々への物語。
蒼司の語りがずっと好きだった。
そして蒼司が作中表に見せていた悲しみや肉体のやつれを全くの嘘として描かなかったところがとてもうれしい。蒼司の悲しみは傍観者及び読者には見えない非現実の場所にあるというだけで、その感情は本物だった。
『空しい音──愛読者をさがす登場人物』、うれしすぎる。
『少女椿』のあとがきでちらっとみどりちゃんの果ての姿が出てくるところを思い出した。メタというか作中の人物が生き続けていることが現実と接続しながら描かれるのが好き。
上巻、序章冒頭の幕開けの描写と下巻の最後の幕引きの描写の対比がめちゃくちゃ美しい。黄司でありそうでない青年と、蒼司かもしれない人影。

