
飴田
@hukuro_neko
2025年10月31日
いのちの車窓から
星野源
読み終わった
今年、星野源のライブに初めて行った。大好きな曲をたくさん聴けた。体がメロディにのって自然にゆらゆら動いた。
最初の、どうもー!星野源でーす!を浴びて、うああほんとうにあの星野源だと感激してから、3時間ほどだったか。あんなにどこを切り取っても濃い時間だったのに体感はあっという間で、ずっと楽しかった。
このステージをここまでつくりあげるために妥協せずに突き詰めたんだろうな。
終演後、そう感じた。初めて見た星野源の姿は、言葉は、表情は、そんな印象を何の疑いもなく抱かせる、誠実で謙虚でユーモアたっぷりで、何より真っ直ぐにあらゆるものと向き合うものだった。
ライブでは観客を楽しませるアイデアや工夫がたくさんつまっていた。それはどのアーティストも勿論そうだけれけど、(私が今まで体験してこなかっただけかもしれないが)ゲストの多さには圧倒された。あなた方でメインをはれるぞってくらいの方々が続々登場するそんな空間の中心に立っている星野源。周囲に愛されているなあと感じるし、同じように周囲を愛してるんだろうなあと感じる。
そんなライブの余韻がまだまだあって、音楽だけではなくて著書にも触れてみたいと思っていたところ、本作を読んだ。
ひねくれた部分とかこじらせた部分とか、面倒くさい部分もあると教えてくれる。一方で日常の何気ない部分に味わいを感じて満たされたりする(その切り取り方こそ人それぞれで、星野源のそれはあまりにも素敵なんだけども)。
「人間」だなあと、読み手はあの星野源と自分に、なんと共通点を見出だしてしまう。圧倒的スターなのに親しみやすさが共存しているバランスがずっと不思議でたまらないが、へんに飾らない・自然体な様が一番その印象に起因しているんだろう。
勿論、多方面の活動を成り立たせる才や、ならではの視点など、星野源を唯一無二の星野源たらしめる部分も忘れてはいない。
憧れの人や共演者たちへのリスペクトの姿勢(自分自身を見つめる視点も然ることながら、他者を描写したときの魅力が印象的だった)、仕事への取り組み方、文章を書くようになったまさにその経緯など、エッセイなので当たり前かとは思いつつ描写してくれているすべてで星野源が構成されていると感じる。
ライブの熱量とはまた違った感覚で魅力を味わい、本を先に読んでいたらまた印象は変わったのかなとも考えた。多分、変わらない。同じところに着地したと思う。この本と地続きのところに、実際にこの目で見た星野源がいたんだと。
本当に得難い体験をしたなあと、余韻がまだまだ離れてくれない。
最後に。
こじらせ偽るのをやめて、人間が好きだとはっきり明言して、自分の心のままに前へ前へ進んでいる。そんな星野源に周囲も魅了されていて、いろんな道が切り開かれている。本人はそこをただ流されることなく、一歩一歩踏みしめる感覚を大切にしながら生きている。
読み終えて抱いたのはそんなイメージだった。羨ましい、眩しい、素敵だ、ありがとう、の感情がわきあがる。
星野源のような人間がしたいことが自由にできるような世界であってほしい。それはきっと私にも寄り添ってくれるから。