きらた "自由研究には向かない殺人" 2025年7月15日

きらた
きらた
@kirata
2025年7月15日
自由研究には向かない殺人
自由研究には向かない殺人
ホリー・ジャクソン,
服部京子
英国の小さな町に住む17歳のピップは高校の自由研究として、5年前に町で起きた事件を調べている 殺人を犯し自殺したと結論付けられた少年の無罪を証明する為に── “自由研究”との言葉から牧歌的なイメージを抱いてしまうのは、夏休みの小学生の宿題が真っ先に思い浮かんでしまうからだろうか しかし、本作で書かれる“自由研究”は大学のレポートや論文に近く、また、扱う内容は牧歌的とは対極に位置するものだった それは 自らが住む町に起きた殺人事件 5年前に起きたその事件の被害者は、今の彼女(主人公·ピップ)と同じ17歳で、通う学校も同じ 事件は犯人の自殺との形で結論付けられたが、ピップには納得出来なかった 犯人の少年をピップは知っていたから 彼が犯人だとはどうしても思えなかったから── ピップはナイジェリア人の義父と父親違いの弟を持ち、偏見を嫌い、公平であろうと心掛けている明朗闊達な少女だ そんな彼女が主ピップ人公だからだろう、重くなりがちな内容でも明るく心地良い風をどこかに感じる とは言っても、事件自体は明るい内容ではないし、調査が進むに従って、ピップの身近な人物にも疑惑が浮かんでくる 警察にツテがない普通の学生であるピップは関係者達にインタビューを申し込んだり、フェイスブック等を活用して調査をして行く 他の本と違うのは、そうやってピップが調べた資料―自由研究の作業記録やメールのやり取りやメモ書きした関係者の相関図など―がピップ視点の描写に挟まれるように収まっていることだ 増え行く容疑者の中にはピップと親しい者も居る 何者かから脅迫を受ける事もある 表には出てこなかった裏の顔を知る事もある 仮説を組み立て、崩し、また新たな仮説を立て‥ そして、そうやって積み重ねていった情報を精査していき、ピップは遂に真相にたどり着くのだ 時にピップは危うい行動も起こす 真実を知る為に、との理由であっても、本来なら許されざる行為に手を染める 若さ故の、というには些か無謀過ぎて、その点等が気にはなったが、そこに目を瞑れば、非常に読み応えのあるミステリだった 本作は3部作の1作目らしい YAモノとしても、今後どうピップが成長していくのか気になるので、次作も機会があれば手に入れてみたいと思う
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