
もん
@_mom_n
2025年11月1日
月と散文
又吉直樹
読み終わった
心に残る一節
@ 自宅
小説と並行してちびちび読み進めていた又吉さんのエッセイ。
やっぱりどうしても又吉さんの言葉が好きだ!
p.18
生まれ方も死に方も選べないけれど、生き方は選べる」ということに僕が気付いたのは最近のことだけど、それもみんな当然のことだと知っていたのだろうか。
p.88
時間が有り余っていた自分にとって、古書店と自動販売機だけが、自分を何者かにしてくれる装置として、機能していたのだ。缶珈琲を持っていると僕は珈琲を飲んでいる人になれたし、古書店で本の背表紙を眺めていると、本を選ぶ人にもこれから本を読む人にもなることができた。
p.220
「月、落としましたよ」
私が声を掛ける。
「俺のじゃないです」
その人は振り返らずに答える。そっか、月はみんなのもんやもんね。
p.349
徒歩三十分というのは歩き続けた場合の話であって、立ち止まって哀愁を蒐集していたのでは、どこにも辿り着けない。悪い癖だ。ゆっくりと歩き始める。